内容説明
西側陣営の兵器ファッション・デザイナーであるラーズ・パウダードライと、人民東側のリロ・トプチェフは、日々、超次元空間に意識を浮遊させ、独創的で戦慄すべき殺戮兵器を開発していた。だが、この開発競争は東西両陣営による大嘘であった。新型兵器の殺傷能力はゼロだったのだ! だがある日、エイリアンの衛星群が突如襲来し、地球は絶体絶命の危機に! かくて二人は、協力して本物の究極兵器の開発に着手するが……!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
催涙雨
30
一言でいうならぶっ飛んだ発想が魅力のアイデアストーリー。偽りの兵器で東西それぞれ冷戦状態の大衆を統治していたり、それが民間向けに改鋳されていたり、そういう舞台設定に関しては本気で面白いと思う。支配、被支配の階級格差に対する極端な皮肉にも感じる。まあ、エイリアンが出てくるあたりからその辺があまり重要じゃなくなってものすごいB級具合の加速を見せるのだが。タイタンの青い頭足人間の作者がどうこういう話は宙吊りのまま終わり、トランス状態でおこなった大移動に関してもなんだかうやむやにされる。こういったわけのわからない2018/05/28
きょん
14
作者自身が愚作、と評した作だが、確かに前半の重々しいノリと後半の、え?それがエイリアンに対抗する策なの?と肩透かしを受ける部分とか実にアンバランス。だけどシニカルなコミック映画みたいで面白い。2015/03/17
磁石
13
相変わらずの娯楽LSD小説。そして、ちょっとした才能はあるけど根っこは、あっちに行ったりこっちにフラフラのダメ男な主人公。政府高官が本気で取り組んでいる兵器デザインを、漫画家やおもちゃ屋が作り出してしまっていた皮肉。しかもかなり前に、知られずに。未知のエイリアン衛星を倒すのに使われた最強の兵器とは、いつもPKDが唱えていた理想。強制的にミラーニューロンを活性化させる、といったものだろうか。2015/07/09
hikarunoir
7
冷戦的パワバラ出来レースにマジな異星人侵略が絡み、渋々マジになる下らなさ。それで人類団結が試されもせず、全部美少女が持ってっちゃうのが最高!2023/03/31
ゆけちゃす。
7
SFコメディなのは分かったけど少し破綻気味?主人公の仕事は世界に2人しかいない兵器ファッション・デザイナー。(合法な)ドラッグでトランス状態に入り、無意識の中から誰も見たことのない兵器のアイディアを拾い上げる…という、どうやって確立されたのかよくわからない仕事。しかも実際には殺傷力ゼロで、大衆はそのことを知らされていない…という、どうやって情報統制してるのかよくわからない世界。そこにエイリアンがやってきてホンモノの武器が必要になるという話なんだが、でも普通に銃で人死んでましたよね?いや面白かったけどさ…。2018/03/21