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内容説明
「山登りにベテランなし」。
すべての登山者が知っておくべき山岳遭難の真実。
登山者にとって山岳遭難はけっして他人ごとではない。
人が自然のなかに踏みこむ以上、なんらかの危険を受け入れる覚悟が必要であるということを、過去の遭難事例は雄弁に物語っている。
本書はこれまでに起きた山岳遭難をレポート。
雪崩、高体温疾患、爆弾低気圧、低体温症、道迷いと、それぞれの遭難の背景を検証しながら、学ぶべきポイントを指摘する。
彼らはなぜ遭難してしまったのか。
そこに至るまでの過程を丁寧に紹介したレポートは、読む者に山に対する心構えを新たにさせるにちがいない。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
66
「道迷い」や「滑落」、「気象」に「単独行」と著者がテーマ別にまとめている山の遭難事故シリーズはいずれも面白く読んでいる。本書はそんな著者が雑誌発表した事故のルポタージュをまとめた物。とはいえ冒頭の著者自身が遭難しそうになった体験から、爆弾低気圧や吹雪による低体温症、雪崩に落雷、山中彷徨の際に見た幻覚等、何れも読み応えは十分。個人的には幻覚の記録が一番面白く読めた。ああいう物を見るんだ。様々な体験が他山の石とすべく書かれているが、読んでいると山行くの怖くなってくるな。今年の冬こそ冬山デビューしたいけど…。2021/11/27
ビブリッサ
62
遭難の実例を検証・紹介している。中でも「幻覚に翻弄された山中彷徨・大峰山系、釈迦ケ岳」の項は、本人の手記が(太字の箇所は幻覚と推察)掲載されていて、次から次に幻覚が現れている。電話ボックスが三台並んでいる、古い石碑のある尾根筋に白い服を着た男が数人いる。尾根筋を下に向かうと建物の屋根が見え、嬉しさのあまり、下りていく道中で拾おうと思ってリュックを下に投げてしまう。そしてリュックはもう見つからない。男の声がして、登ると宿坊がある、泊めてもらえと言われる。2017/06/04
NADIA
57
表紙のイメージが似ていたため、先月『単独行』の感想を間違えてUPしてしまった。今回は間違いなく!! いろいろなケースの遭難が取り上げられているが、何より第1章の著者・羽根田さんのケースが印象深い。プロ中のプロでもそのような遭難一歩手前状態になりうるということは、どんな山登りの達人でも常に遭難の危険があるということだ。山で遭難と言えば低体温症と相場が決まっているが、羽根田さんは西表島で高体温疾患だった。なるほど、寒くても暑くても危ないと大変勉強になる。 2022/09/03
マリリン
51
遭難の実例が書かれている。写真こそ少ないが、かなりリアルに書いてあり、その原因について掘り下げて検証記録と共に論考も書かれているのがよい。熱中症や脱水、低体温症やケガに至る経緯が興味深い。油断や過信が遭難を引き起こす。特にスキーツアー中八甲田山でおきた雪崩事故の欠落していたリスクへの備えは、山中に限った事ではない。被雷のち骨折・幻覚に翻弄された山中彷徨・明暗を分けた分岐点・単独で山中を放浪した8日間等は、入山姿勢を問われたと同時に文字を置き換えればそこには日常生活がある。サバイバルには体力が必要。2021/01/18
あんこ
26
山には登らないけれど近くに登る人がいるので興味深く読んだ。大量遭難の事例は痛ましいし、生還したご本人の手記も読み応えあった。幻覚を見ながらさ迷うとか、怖すぎる。山に登る方々には十分注意してほしいと思った。待ってる家族がいるのだから。2019/05/05