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内容説明
医薬品産業はビッグビジネスであり、世界の巨大製薬企業が巨額の開発費をかけて新薬開発にしのぎを削っている。しかし、ガン、アルツハイマー病、インフルエンザ、エボラウイルス病……特効薬は生まれていない。人類の歴史は、創薬の歴史でもあった。ところが21世紀に入り、新しい薬が生まれにくくなっている。本書はその原因を探りながら、「ドラッグ・リポジショニング」という、新しい視点からの創薬を紹介する。(ブルーバックス・2015年2月刊)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロッキーのパパ
15
従来型の画期的な新薬開発が難しくなってきた。そこで脚光を浴びるドラッグ・リポジショニング説明している。 まだ、課題はあるけど、医療を巡る様々な問題に対処して行くにはドラッグ・リポジショニングは良い手段に見える。2015/04/17
寝落ち6段
14
新薬の開発はそう易々とできない。人体に有効な成分というのは、この人類の長い歴史の中で、たくさん発見されてきたがゆえに、新しい成分というのが発見されにくい。それに開発に伴う費用は巨額。一生に一個、開発できるという保障すらない。だから創薬がピンチなのだ。そこで発想の転換、ドラッグ・リポジショニング。今まで発見された効能をほかの視点から見て、Aに効く薬からBにも効く薬と考え方を広げるのだ。我々人類は薬の力によって今の発展を為したというのは過言ではない。恐らくこれからも人類は薬に頼るだろう。2023/09/29
ゲオルギオ・ハーン
9
2015年発行。コロナの件で新薬ではなく他の薬で対応する状況が気になり読み始めた。『創薬が危ない』と危機感を煽るタイトルだが、中身は「ドラッグ・リポジショニング」という既に市場に出ている薬を再評価し、他の病気にも対応させる前向きな取組についての紹介と周辺状況の説明がメイン。著者は企業に勤めていた経験もあるため、研究プロセス以外にも既に市場に出回っているため再評価にかかった費用を価格に反映させることの難しさなど企業的な立場でも考えて書いている。そのため、いろいろな角度からの読み方がしやすい一冊になっている。2020/06/11
おだまん
6
製薬業界がそういうことになっていたのか。それでも確実に科学技術は進歩していることが再確認できました。2015/04/16
おせきはん
5
開発に時間と費用を要する新薬開発が、ジェネリック医薬品普及による製薬会社の利益の減少、臨床実験結果の動物とヒトの違いの顕在化などから難しくなる中、既承認薬を別の病気の治療薬として開発するドラッグ・リポジショニングが注目されています。高血圧治療薬だったリアップ(増毛剤)や狭心症治療薬だったバイアグラ(勃起障害治療薬)等、副作用からの適応拡大は多くありますが、偶然の発見ではなく、既承認薬の働きを科学的に解明して、安全に安価で、早く新しい薬をつくるのがドラッグ・リポジショニングです。創薬動向がよくわかりました。2015/03/11