内容説明
日本最高峰の靴職人の半生を追う。
日本最高峰の靴職人、関信義さんが70歳を超え、いよいよ引退することを決めました。関さんの名は、ファッション業界関連の者なら知らぬ人はいないほど。その半生を振り返り、いかにして最高峰の称号を得るにいたったのか、関さんが生きた靴業界はどのようなものだったのか。大量生産の時代の終焉を迎えようとしている今、自らの命を削りながら、後継者を育てる職人の生き様を追いかけます。
戦後の貧しい時代に幼少期を過ごした関信義さんは、早くから手に職をつける道へと進みます。そこで靴作りと出会います。戦後の物不足、そこに訪れる靴業界の活況。その後、靴業界が舵を切る機械化への道。関さんは激動の時代の中、紆余曲折ありながらも、最高峰職人への道を進んでいきます。そこで意識するのが「枯れる」という境地。職人世界では最高の褒め言葉です。その境地にたどり着くまでの道のりを、2つのポイントを織り交ぜ、物語は進んでいきます。
ポイント1 技を極め、さらにそこから無駄をそぎ落とす技術と感性。
ポイント2 自分の職人生命が終わっても、それと引き替えに新しい息吹をはぐくむこと。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
baboocon
23
先日、クレマチス銀座にお邪魔した。その店主の高野さんが、この本の関信義氏の弟子の1人であるという話を聞いたのを思い出しながら読むと、なるほど高野さんもちらっと登場していた。/日本の戦後の靴産業の勃興と衰退をリアルタイムで経験してきた伝説的な靴職人の半生記。昭和の職人らしく、奔放なエピソードには事欠かなかったようだ。しかしその腕の早さ、確かさはあちこちから引き合いに事欠かない。莫大な借金を抱えることになった壮年期以降は1人で靴を作りつづけ、6年ほど前に引退。時間が戻せるなら、自分も1足作ってもらいたかった。2018/12/27
ハパナ
4
現代社会において身につける物の中で、一番過酷な環境に晒されるのが靴です。 それゆえに手入れの具合や仕立ての良さ等が、ハッキリと目に見える道具ですね。 本書はその靴を作る関氏の、職人人生を書いた本です。 綺麗なだけでも手が速いだけでもない、枯れて独自の艶を出しつつも全力で靴作りに向き合う。 その姿勢がとても格好良い!2015/04/20
ともがら
3
職人、いい言葉です 私も、その端くれで、一流の親方についてたけど不肖の弟子です こんな意識持ちたいけど、半端じゃないですもんね 「いい靴」履きたいです2017/07/05
トサマトモ
3
を読了。靴職人の関信義さんの人柄がにじみ出たような1冊。“マッケイ”“グッドイヤー”“セメント”といったファッション誌でよく目にする言葉にもなるほどなと頷きながら、関さんの半生を興味深くまったりと読みふけった。お弟子さん達のやりとりも印象的だった。自分も1度でいいから、本書で出てくるような靴をいつか履いてみたい。2015/05/15
Hoshi Ryotaro
2
関信義の靴職人を貫き通した信念を感じれた。 僕は靴を磨く職人として枯れていきたい。2015/01/15