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内容説明
11年に及ぶ江川文庫総合調査で目録に掲載された7万点の資料のうち、なんと4万点弱が重要文化財に指定された。本格的な分析はこれからだが、これまで知られていた事実の評価の見直しや、新たな幕末像が見えてくることは間違いない。知る人ぞ知る幕末の俊英であった江川英龍だが、幕末・維新の偉人たちが評価してやまない巨人であったのだ。国防からの韮山反射炉・お台場の建設、奇兵隊に先駆けて農兵を組織、近代軍隊の様々な施策(なんと軍用携帯食として初めてパンを焼き、パン祖とも言われる!)。そして、精緻かつ多数の絵画を残す風流人でもあった。今回の総合調査と韮山反射炉の世界遺産推薦をきっかけに、脚光を浴びる江川英龍の最新の研究結果が今ここに明らかになる。
目次
序章 江川文庫の資料価値とその調査
第1章 今なぜ、江川英龍(坦庵)なのか?
第2章 英龍、誕生す!―英龍を生んだ江川家の歴史と家風
第3章 英龍、我を磨く!―家族愛を目覚めさせた父・英毅(三十五代)と母・久の教育
第4章 英龍、奔走す!―代官就任とその活動
第5章 英龍、大自然に学ぶ!―絵画にみる科学者としての目
第6章 英龍、国を憂い動く!―海防建議と台場建設
第7章 英龍、次代に夢を託す!―人材の育成と進取の精神
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
№9
23
広瀬隆著「文明開化は長崎から」からのspin-off reading第一弾。著者は、江川家に残されている中世以来の膨大な資料を管理する公益財団法人江川文庫の主務を務める方、とのこと。つまりプロの著述家ではないようで、文章が固く読みにくかった。感情量のやたら多い広瀬隆の文章と比較するのは酷かも知れないけど。それにしても江川英龍の偉大な業績やその高潔な人格がほとんど知られていないのはなぜか?流行作家やメディアがほとんど取り上げていないからだろう。ここはひとつ、NHKの歴史ヒストリアに是非取り上げて貰わねば!2015/10/02
壱萬弐仟縁
14
「英龍はいつも自分の考えに固執することなく、自分の考えが受け入れられないとわかれば次の提案を行い、いつでもそれを補う良い方法を考え、次第に完全なものになるよう心掛けていた」(34頁)。このような心構えが、放射能除染や原発ゼロを進めるにあたっても、推進派の固執に対して説得できればよいが。韮山反射炉の写真(184頁)。反射炉っていうものの形状はどうなっているのか、知らなかったのでこれがそうか、という感じ。土を固めて素焼きにした焼石(煉瓦)を使い築造するという。2014/02/03
getsuki
2
タイトルの割に本人の業績に対する記述が少ないなぁ……と。そこが残念。2014/09/12
さとうしん
2
基本的に顕彰目的の著述になってしまっているのが残念。江川氏の系譜を源満仲から辿る必要は無いだろうと…2014/01/19
ダージリン
1
江川英龍は素晴らしい人物だと思うが、この本は本人の業績に触れるまでが長すぎないか。江川家のことを書きたかったのかも知れないが、無理して引き延ばして一冊の本にした印象を受けてしまう。むしろ反射炉に関連するテーマとして、外国との関係、蘭学の受容過程などをもっと詳述した方が良かった気がする。ところで韮山の反射炉は一度見に行ったことがあるが、暇があれば再度訪れてみたい。2014/03/02