運命の子 トリソミー 短命という定めの男の子を授かった家族の物語

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運命の子 トリソミー 短命という定めの男の子を授かった家族の物語

  • 著者名:松永正訓【著】
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • 小学館(2014/08発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784093965279

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内容説明

出生前診断に一石を投じる小児外科医の記録。第20回小学館ノンフィクション大賞大賞受賞作。

人間の生命は、両親から一本ずつ染色体を受け継ぎ誕生しますが、染色体が三本に増えている病気がトリソミーです。異常のある染色体の番号によって、「13トリソミー」「18トリソミー」「21トリソミー(別称・ダウン症)」などがあります。13トリソミーの赤ちゃんは、心臓の奇形や脳の発達障害があるため、半数が1か月ほどで、ほとんどが1歳までに死亡します。本書は、小児外科医である著者が「地元の主治医として13トリソミーの赤ちゃんの面倒をみてほしい」と近隣の総合病院から依頼され、朝陽(あさひ)君とその両親に出会うところから始まります。朝陽君の両親は我が子を受け容れ、自宅へ連れて帰り愛情を注ぎます。そして障害児を授かったことの意味を懸命に探ります。著者は朝陽君の自宅へ訪問をくり返し、家族と対話を重ねていきます。また、その他の重度障害児の家庭にも訪れて、「障害児を受容する」とはどういうことなのかを考えていきます。やがて朝陽君の母親は、朝陽君が「家族にとっての幸福の意味」を教えてくれる運命の子であることに気付きます。出生前診断の是非が問われる中、「命を選ぼうとする考え方」に本著は大きな一石を投じます。

目次

十八年ぶりに出会う患者
眠リ続ける子、眠らない母親
朝陽の誕生
短命という名の運命
五回の手術を受けた13トリソミーの子
兄の心の中にあるもの
祖母の独白
母親の揺らぎ
在宅人工呼吸で幸福を得る―ゴーシェ病の子
我が子を天使として思えるまで―ミラー・ディッカー症候群の子
退院して一年を越える
親亡き後の障害児の将来―「しあわせの家」で
誕生死した18トリソミーの子
二歳の誕生日

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころりんぱ

54
頭の中を単語がぐるぐる回る。トリソミー、染色体異常、ダウン症、出生前診断、羊水検査、奇形、人工呼吸器、心身障害…どれもこれも知っている。知っているのに、知らないことばかり。当事者でないから。多くの人は喜びとともに赤ちゃんを迎える。なのに、その瞬間から、短命という運命を背負い、いつ消えるかもわからない命を授かる親がいる。こういうこともあるってこと、もっと知られていていい気がする。誰もが我が事に置き換えて考えられるようになったら、人に優しい社会になるんじゃないかと思う。感想を言葉にするのは苦しいな。2015/12/22

やっち@カープ女子

50
読んでいる間、ずっと心の葛藤だった。トリソミーの子の治療、生命論理。すごく重いテーマだが、著者の家族について書く文章で優しく温かい気持ちが伝わって来た。そして最後の朝陽くんとお母さんの写真で救われ、感動した。命は尊い。2015/11/07

とらこ

29
読友さまのレビューを見て手に取りました。タイトルから受ける通り、短命の定めを受けたトリソミーの赤ちゃんのお話。赤ちゃんの人生、そして親の人生が丁寧に書かれていました。短命だと分かっているのだから、積極的な手術や治療はあまり選択しない方針の医師達。しかし告げられた命の長さよりも逞しく成長する彼らに親たちは励まされ愛しく思い、辛い日々に立ち向かいながら奮闘する。『彼を産むために自分は生まれてきたと思う』と言った母親。誕生と死が同時に訪れた赤ちゃんをカンガルーケアする母親。命の尊さを感じる作品でした。2014/03/16

さく

25
生まれた時から短命である定めの、染色体異常の子ども。彼らを育てるって、どういうことだろう。いつ、障害を受け入れるんだろう。そういったことを、小児外科医である著者が障害を持つ子を育てる親に聞き取り、本にした。短命な子だからこそ一日一日が大切で、けれど短命なんてことは考えたくなくて、でもその子を残しては死ねなくて。相反する思いがある中で子どもの生まれてきた意味を見出し、それぞれに幸せの形を見つけている。誕生死した18トリソミーの子の話はとても悲しかった。出生前診断の是非など、考えさせられた。2018/06/02

ピース

24
出生前診断で障害がわかると盛んに報道され、なぜ障害を持った子が否定されているのでしょうか…という桂子さんの言葉にハッとしました。なぜ この検査が必要とされ、確立されるのか?これは医学が発展して可能になったものです。本来であるならば分からなかったこと。人は今よりさらに知りたい、さらに良くなりたい…など常に欲求があります。命が作られる過程にまで踏み込んでいる医学。助けられることもあれば、逆に苦しめられることもあります。肯定も否定も出来ませんが、踏み込んで良い領域だったのか?という疑問は消えません… 2019/10/19

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