内容説明
救いたい、その一心で嫂(あによめ)を手にかけた黄巾(こうきん)の子、廖淳(りょうじゅん)。若き日の劉備に拾われ、関羽や張飛の下で武芸を学び、やがて少年は心底の後悔から自らを解き放つ。そして「三顧の礼」で迎え入れられた諸葛亮。俊才だが変人の軍師に気に入られた廖淳は、武将としての才覚を現していく。まったく新しい三國志、第三弾!(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
106
吉川版「戯史三國志」三部作の第三弾。魏・呉・蜀それぞれに正義があり、魅力的な人物が存在する。本作の主役は廖化と諸葛亮。それぞれが持つ才知、そして人としての情、弱さまでをも存分に描き出しており大作だが最後まで飽きることはない。三國志を極めようとしたら、膨大な書を読み進めていくことになるのだろう。それもまた読書の喜びではあろうが、手っ取り早くそれに触れることができて、平易な文書である意味漫画感覚で楽しむことができるこの三部作は、入門書としても良いものかもしれない。三國志ワールドに向けて、夢は広がるばかりです。2019/10/20
巨峰
62
最終巻。主人公は廖淳のちに廖化、黄巾の子供で劉備に拾われて蜀漢の終焉を見届けた良将。この三國志は、劉備がめちゃめちゃ格好いい!!任侠道と王道を接近させて進む。関羽は損な役回りで、簡雍もなかなか出番がある。諸葛孔明の対人障害を思わせるような冷たいキレっぷりもいい。蜀の滅亡までを描きますが、最後まで目が離せませんよ。三巻とも面白かったです。どの巻から読んでもいいと言うけれど、このシリーズはやはり順番通り読んだ方がいいと思います。2016/12/02
Die-Go
45
図書館本。吉川永青による戯史三國志第三部。今回の主役はなんと廖化。はっきり言ってこの方の情報はほとんどないと言っても良い。せいぜい蜀の武将ってことぐらい。その廖化がなぜに主役に立てられたか。それは、劉備の立身の成り立ちから蜀の最期を見届けたからだろうか。物語は廖化の人生を振り返る形で進んでいく。その中に第一部『我が糸~』第二部『我が槍は~』だけではなく、『関羽を斬った男』『孟徳と本初』とつながる話があり、その点でも楽しめる。ルビに誤りがあるのが気になるのを除けば満足な読書だった。★★★★☆2017/12/16
まさ
28
吉川永青さんの戯史三國志3部作の完結編。老臣となった廖化が若い姜維に三国動乱の歴史を語る。1部・2部で登場した廖淳という人物はこの物語を通す架空の人かと思っていたら、後の廖化でしたか。前話としっかりと繋がっていく廖化自身の放浪のドラマの一方で、俯瞰して三国時代を読むこともできました。しんみりと読み終えた1冊。この3部作、いいなぁ。2020/02/22
スー
24
118前2作を見届けた廖化が晩年に姜維に体験を語り戦国の世を生き抜いき辿り着いた境地について語っていく話です。青州黄巾の子だった廖化が劉備に拾われいくつもの出会いと別れを重ね苦悩し助けられもがきながら成長するのを見守る感じで熱くなりました。物語を盛り上げるのはべらんめえ口調の劉備と一言多くて皮肉屋冷笑家の孔明が三國志の世界観を壊す事なく絶妙に広げていて吉川永青三國志が見事に出来ている。廖化の師匠は張飛・関羽・孔明友は夏侯覇で養父は劉備・程普と三国全てと繋がりがあるので出した答えだと納得。劉備・関羽・張飛2021/10/12