内容説明
1年ぶりに海外放浪から帰国した鷲津政彦は、腹心の部下アランの不可解な死を知らされる。鷲津はアランが追いかけていた繊維業界の老舗・鈴紡を買収の標的に定めた。一方、鈴紡は元銀行員の芝野健夫を招聘し防衛と再生を図る。その裏に、芝野の元上司でUTB銀行頭取、飯島の思惑が潜んでいた。熾烈な闘いの勝者は?(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
329
企業規模が格段にアップ。狙いをつける会社に元ネタがあり、しかもある程度現実とのリンクもあるので、イメージがしやすい。そこに鷲津が介入すると、どんな結果になっていたのか、という実現しなかった未来の答え合わせをしているような楽しさ。芝野や飯島とも、単純な敵味方の図式ではなく、それぞれの立場や思惑によって、ついたり離れたりの丁々発止のやり合いがあり、そういうクレバーな面を全員が持っていることで、手に汗を握らされる。上巻ラストの卓袱台返しも、こういう場合は本当にそうなりそう…と思わせてしまう著者の筆運びならでは。2019/09/22
KAZOO
116
ハゲタカシリーズの2弾目です。この上巻は誰でも予想がつきそうな会社がターゲットになります。前回出てきた人物たちがまたさまざまな役割を繰り広げています。関西系銀行の役員だった人物が統合銀行の頭取になっていたりと私は、企業や人物のモデル探しが楽しくなっています。前は銀行の裏口座のようなものがあったのですが今度はこの化粧品・繊維会社のパンドラの箱があるようで楽しく読ませてもらっています。2017/06/19
修一郎
77
1作目のバルクセール/同族会社の買収合戦も面白かったけども,この2作目,老舗の企業救済買収も面白い! 前作同様,鈴紡のモデルであったアノ会社がどういう経緯をたどっかはよく知られている。フィクションと言いながら,鈴紡/月華/NROの攻防だって実際の事案を当事者側から見せてもらっているようで興奮ものだ。鷲津どうなっちゃう? 芝野どうなる? てワクワクしながら読み進めてます。下巻へ…ドラマも並行して観ているから急がないと…2018/07/31
カレイ.シュウ
39
ハゲタカの続編。前作で銀行買収などを扱って来たが、今作はカネボウ買収をモデルにした企業買収劇。ライブドアのニッポン放送買収騒ぎもちらっと出てきて懐かしさも。相変わらず主人公は仕事も色沙汰もスーパーマンです。さて下巻に続く。2018/04/29
taka61
29
前作の後、1年間のブランクを経てゴールデンイーグルこと鷲津が復帰。その間にアランが不慮の死を遂げる。不可解な死と鈴紡の買収劇との関係は...。作品の背景には膨大な取材があるんでしょうね。相変わらずのスピード感と一気に読ませる筆力には脱帽です!続いて下巻も読みます。2014/03/02