内容説明
本好きの作家がつづる、心躍る読書エッセー。
ひとりひとりの人生が重なり合い、関わり合っただれかの時間が縫いつなげられ、無限へ、永遠へと広がっていく。本が、物語がある世界とは、なんとすばらしいのだろう。
この本は、まるごと物語にのみこまれることの至福に満ちた、すべての本とすべての本を必要とする人へのラブレターだ。
著者は語る――「収録してある本はほとんどすべて、読みたくて読んだものであり、読んでみておもしろかった本ばかりだ。こんなにも世界にはたくさんの本がある。私はこれらの活字を追いながらじつに膨大な、幸福な時間を過ごしてきた。その幸福な時間が、この一冊には詰まっている」
目次
1 本のある世界でよかった(交際履歴 美の信仰者―川端康成 強い小説―太宰治『斜陽』 ほか)
2 読書の部屋1 2003~2006(日常に溶けこんだ万華鏡世界―長嶋有『タンノイのエジンバラ』 増殖した「我」がゆがむとき―桐野夏生『グロテスク』 においのゆたかな、うつくしい小説―川上弘美『光ってみえるもの、あれは』 ほか)
3 読書の部屋2 2007~2009(強くて開いている小説と明晰を超えた言葉―大島真寿美『青いリボン』/大竹伸朗『ネオンと絵具箱』 生きることはかくも理不尽である―鴨志田穣『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』 人が死んでも生き残る「家」の力―加藤幸子『家のロマンス』 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
308
ぐふふふふ。意外と私の読書傾向は、角田さんと似てるのでは。読書に意味を求めてないところも一緒だわ。ということで、いくつか読みたい本を登録してみました٩(。•ω•。*)و2016/10/15
hiro
172
読メの献本に応募したが、残念ながら外れてしまたので購入した。角田さんいわく、書評集ではなく感想文集だそうだが、もちろん、一流作家の感想文は、我々の感想文とは違うと、読み出してすぐに気づく。文章がうまいの当たり前だと思うが、「気の遠くなるほどの本を読まなければ、作家にはなれない」という世界にいる一流作家は、読者としても一流だと改めて感じた。しかし、外国名は苦手とか、三浦しをんさんのエッセイを持ち歩かなくて正解という、我々の感想文とかわらないところもあり、少し安心する。新しい作家の本にも挑戦しようと思う。2013/10/27
❁かな❁
150
角田光代さんの作品を読むのは5冊目。ご本人曰く感想文集とのこと。とても素敵な感想文でした☆角田さんの本への愛情がよく伝わってきます!最初の交際履歴から、あとがきまで素敵♪角田さんがそれぞれの作品を読み素晴らしい時間を過ごして来られたのがわかり、本当に読書を楽しんでいる時間は幸せな時間だなぁと改めて思いました!約150作程を紹介されていてその中で既読の作品は4作しかありませんでした^^;でも読んだことがある好きな作家さんも多数紹介して下さってて嬉しかったです!読みたい本が色々増えました☆とても良かったです♡2014/11/07
takaC
131
今日は、この本を読んでから、皇后杯駅伝を6区まで観て、午前中に県立美術館に何か展を観に行ってた妻と合流後ニューフィルハーモニーオーケストラ千葉の新年特別公演を鑑賞して帰ってきたらもう夜だった。冬は一日が短いな。2016/01/17
KAZOO
119
作家の角田さんによる書評集です。最初はご自分の読書歴のような感じで、比較的長い作家あるいは作品についての論評となっています。川端康成や尾崎翠、向田邦子、あるいは武田百合子の「富士日記」について読ませてくれます。後半は2003年から2009年まで様々なメディアに発表された書評集となっています。私が読んできた作品とかぶるものはほとんどなく、参考になりました。2024/04/16