内容説明
“艶女”――それは、想い人と性交し本当の女の悦びを知ることで、背中や腰に花や蝶や鳥などの絵が浮かんだまま、入れ墨のように定着する特異体質。これは妖艶な旅回りのサーカス一座「フィリア・ドゥ・フェティソ」を舞台に繰り広げられる、彼女たちの恋と愛に満ちた六篇の物語。スターと恋に落ち艶女になる飴籤の売り子。演出家との恋で自身も強く成長していく新米の艶女――“恋”に泣き“愛”に濡れ、女たちは艶めく花になる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ricotta
4
とろけるような甘美な刺激に陶酔。世界観が独特で、それを呑み込むまでに時間がかかりましたが一篇ずつ読み進めるごとに開かれる深紅のカーテン、その向こう側で艶じられるサーカスに、気づいたら魅了されていました。この作品ならではの官能表現、言葉がとても綺麗です。一か所目の色で混乱した場面がありましたが、それを置いてもいいなあ、と思いました。ルアンシィ、ゼノ、フィニアスが男性の中では好きだなあ。女性ならダントツでリベラ。2013/09/13
エリー
3
創刊御祝儀と物語設定に惹かれて購入。読み終わるのに、とても時間が掛かりました。今まで読んできた中でも触れた事の無い世界観だった為、自分の中で消化するのに手間取った為だと思います。一つ一つの物語ですが、全てが繋がっているので読んでいて前の話に戻りたくなったりしましたね。それを堪えて読み切った今、何かやり遂げた気分(笑)そしてまた最初から読み直したい気持ちになる、そんな不思議な魅力のある作品だと思っています。2013/09/15
まとい
1
官能と幻想世界(サーカス)を織り交ぜた美しい一品。酔いしれるように読んだ。TL小説によくある貴族ものとは毛色の違う意欲的な題材で、大胆なほど性が奔放に描かれていて一種の解放感がある。また優しく包み込むような男性に癒された。この方はTL小説の中で、ずば抜けて文章力があると思っています。一番好きな作家さんです。 こういう作品がもっと増えてほしいな。2015/10/30
こばこ
1
イラストに惹かれてTLと知らずに読みましたが、とても面白かったです。短編集のような体で、一編一編主要人物が変わるのですが、同じサーカス内でのお話。かなり感覚的な筆質で + 一編一編それぞれのテーマというか特定の心情?にだけスポットライトを当て、変に他のことに話を広げようとしていないことで、彼女たちの気持ちを近くに感じる濃厚なお話になっていたと思います。一話づつゆっくり読んでいった方がよかったな、もったいなかったなと一気に読み終わった今思います。読みやすいが官能漂う文章で、ちょっとした表現や一言が好きです。2014/03/12
七奈
1
電子書籍で。いわゆる乙女系小説と似ているようで違っていて、物語の中に艶がある感じ。切ない系かと思っていたのでそれぞれの幸せな恋が描かれていてよかった。2013/10/01