内容説明
今こそ読まれるべき貴重な「証言集」
関東大震災直後から、流行作家たちは新聞や雑誌に次々と文章を書きました。芥川龍之介、志賀直哉、ほか36名の文豪たちが見て、感じて、書いた「大都市災害」を、国内外で震災と復興・防災についての講演を続ける、著者が考察していきます。著者の石井正己さんは、国文学者・民俗学者であり、東京学芸大学教授です。
「多くの文章は関東大震災の風化とともに埋もれてしまいました。一方で、震災の状況を詳しく知りたいと思っても、もはや生き証人から話を聞くことは難しくなっています。そうしたことを思えば、震災を生き抜いた作家たちの証言はかけがえのない遺産ではないかと思われます」「個別の体験記だからこそ、記録や統計には見られない人間の真情が表れていると言えましょう。」(はじめに、より抜粋)
90年前の体験記は、被災地周辺で親族を亡くされた方々にとって、当時の様子を今に伝える貴重な記録であり、これからの震災にとって学ぶべき教訓も数多くあります。また、著者・石井正己さんの解説で、文豪たちの真情の吐露が、当時の文壇の人間関係や社会状況と関連づけて読めるのは、この本のもうひとつの楽しみです。
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目次
1章 本所・両国・浅草―河竹繁俊・小泉登美・岡栄一郎・中村吉蔵
2章 上野・千駄木・田端―有島生馬・宇野浩二・野上弥生子・芥川龍之介・室生犀星
3章 番町・日比谷・田町―泉鏡花・与謝野晶子・島崎藤村・佐藤春夫・木村荘太・山本有三・田山花袋
4章 横浜・鎌倉・小田原―西川勉・広津和郎・久米正雄・厨川蝶子・北原白秋・谷崎潤一郎
5章 千葉・福井・京都―原阿佐緒・中条(宮本)百合子・志賀直哉・島木赤彦・秋田雨雀
6章 流言蜚語・虐殺―小山内薫・里見〓(とん)・菊池寛・内田魯庵・折口信夫・竹久夢二
7章 復興・防災―杉村楚人冠・寺田寅彦・永井荷風・平塚らいてう・柳田国男
感想・レビュー
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