内容説明
起業の先駆『ぴあ』創始者の熱き闘いと青春。
1972年7月、映画好きのある大学生の熱い気持ちから、ある一冊の雑誌が生まれる。「どこの映画館でどんな作品を上映しているか､そこへ行く道順が誰でもわかるように書かれていたらどれほど便利だろうか」。上京して大好きな映画を観て回るときに切実に感じた“思い”を形にしたのだ。そんな思いを共有し、「なんだかわからないけど面白そう」。と集まってきた仲間たちによって『ぴあ』は形をなし、魂が吹き込まれていく。書店に置いてもらうまでの苦労、人々に認知されるまでの道のり、そして情熱と縁が生み出す、会社としての発展…。その後、『ぴあ』はだれもが知る雑誌となり、チケットぴあも生まれ、ぴあ社は日本のカルチャーを代表する会社となっていく。そんな、時代とともに歩んだ『ぴあ』は2011年7月休刊。そのすべてをあますところなく書ききった熱いビジネス書。そして、何よりフィクションより数倍面白い圧倒的でリアルな人間ドラマが心に迫る一冊です。
目次
序章 『ぴあ』の休刊
第１章 『ぴあ』の胎動
第２章 『ぴあ』の誕生
第３章 『ぴあ』の躍進
第４章 『ぴあ』の挑戦
第５章 『ぴあ』の成熟
第６章 『ぴあ』の時代
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
五月雨みどり
15
時は1972年。一冊の雑誌『ぴあ』が創刊された。田舎から上京して右往左往していた大学生が，仲間や大人や大御所を巻き込んで，サブカルチャー華やかなりしあの時代を創り上げた青春の記録。自分が上京したのはバブル真っ只中。教科書やレポートは忘れても『ぴあ』を持たない日はなかった。２週間舐めるように読み尽くし，バイトと授業の間をぬって，仕送りとバイト代をやりくりし，ミニシアターや名画座に通い詰め，慣れない煙草と酒を浴びながら，半分も解からないくせに映画談議してた。『ぴあ』なしでは東京砂漠で息もできなかった私の青春。2020/07/21
緋莢
14
「どこの映画館で今どの映画が観られるかわかったらなんて便利なんだろう」１９７２年７月、ひとりの映画好きの大学生のそんな発想から、一冊の雑誌が誕生した。『ぴあ』と名付けられた雑誌は、たちまち反響を呼び、発行部数が５０万部を越え、やがて、チケット販売を行う「チケットぴあ」も生まれた。『ぴあ』創刊の中心となった矢内廣と、その周りに集まった人々の姿を書いたノンフィクション。2014/07/15
赤い肉球
13
｢ぴあ｣がなかったら、私の青春は無いに等しかった。発売日と同時(発売日前日もあった)に購入し、目を皿のようにして情報を漁り、ほとんどの週末の朝はチケットゲットの為にチケットぴあの窓口に並び、映画、美術展、スポーツ、舞台、ライヴに出掛け、と、ぴあに掲載されているほとんどのジャンルに足を運んでました。ぴあは私のバイブルでした。今の私があるのも全て｢ぴあ｣のおかげです。創業者の矢内氏や、創刊に関わった方々の事、エピソード、面白く読ませて頂きました。改めて｢ぴあ｣に感謝です。2014/04/14
エドワード
12
1981年に東京の大学に入学した私にとって、ぴあのない東京生活は考えられない。初めて買ったぴあはB5版、表紙は「ブリキの太鼓」。すごい雑誌だった。でも自分ではほとんど買ってない。常に誰かが持ってたし、就職後は会社で定期購読していた。名画座よく行ったね。三鷹でヴィスコンティ、三茶で鬼龍院花子。「千代田区は猿が区長」という「はみだしyouとpia」を覚えてる？泉麻人さんの話す「東京初体験’88」が手元にあるが、懐かしいね。ぴあＭＡＰ片手にどれだけ歩いたことだろう。私もぴあ休刊の記事に思わず涙した一人だ。感謝。2013/04/30
nobu23
7
今は無き雑誌のぴあの始まりからを描いた本。趣味の同人のような形で始まって、数十万部の雑誌までの成長する話は面白かった。チケットぴあを始めるにあたって、既存のチケット販売の仕組みを1から変えてコンピュータを導入する話も面白かった。2019/10/26
