ハヤカワ・ミステリ文庫<br> 黄昏に眠る秋

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ハヤカワ・ミステリ文庫
黄昏に眠る秋

  • ISBN:9784151797019

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内容説明

霧に包まれたエーランド島で、幼い少年が行方不明になった。それから二十数年後の秋、少年が事件当時に履いていた靴が、祖父の元船長イェルロフのもとに突然送られてくる。イェルロフは、自責の念を抱いて生きてきた次女で少年の母のユリアとともに、ふたたび孫を探しはじめる。長年の悲しみに正面から向き合おうと決めた二人を待つ真実とは? スウェーデン推理作家アカデミー賞最優秀新人賞、英国推理作家協会賞最優秀新人賞受賞の傑作ミステリ。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

239
幼い少年の失踪から始まる本物語は なぜか切なく心が痛い。叙情的な北欧特有の 風景が目に浮かぶようで、哀しみを増幅させる。 それにしても、北欧のミステリーを読むと、 霧と湿地の感覚が拭えないのは 気のせいなのだろうか? 屍のように生きる母ユリア..そして 元船長の祖父イェルロフ.. 一つの犯罪が家族に及ぼす哀しみを著者は 執拗に描く。並行して語られるニルスの語りと イェルロフの捜査がクロスして..最後は 哀愁の結末だった。 2016/07/03

mocha

117
20数年前に起きた幼児の行方不明事件。以来ぎくしゃくとしていた祖父と母親が、手がかりを拾い集めるうちに親子の絆を取り戻してゆく。一方で、すでに死んだとされる村の極悪人の生涯。この事件との繋がりは?足元もおぼつかない老人ながら、事件を究明しようとする祖父の姿に泣けてくる。そして「まさかそんな!」というラスト。観光客の去った島に立ち込める霧のように、静かで物悲しいミステリー。『冬の灯台が語るとき』同様、とても好きな作品だった。2017/09/03

サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥

105
スウェーデンのエーランド島で姿を消した幼い少年。二十数年後、彼のサンダルだけが祖父の元に届けられる。誰が、何の為に?事件の真相は?事件の背後にはずっと以前に島から姿を消した男の存在。過去と現在が交差しながら物語は展開する。80歳を超え自分で自由に動くこともうままならない老人が探偵役となる。事件の真相が徐々に明らかになるに連れて面白くなってはくるのだが…。いかんせんこれで600ページは長かった。ラストにあっと言わせることも無く、淡々と静かに予定調和で進んだミステリーでした。★★★2017/10/18

R

90
スウェーデンを舞台にしたミステリ小説でした。鋭い推理や、激しいアクションなんかなく、普通のお爺さんとその娘が、過去に起きた孫(娘の子)失踪事件について突然、新たな手がかりが現れたことから解決に乗り出していく。終わってみると、なるほどといういくつかの因縁が入り組んだ事件だったとわかるのだが、ある種のミスリードとも思えるような犯人と思しき男の過去の話とクロスオーバーしつつ、終盤にその帰結が明らかになるにつれページが止まらない面白さがあった。派手さはないが楽しい読書になった。2021/09/16

ちょろこ

87
ゆっくり進む物語、の一冊。舞台はスウェーデン、エーランド島。姿を消した少年のサンダルが二十数年後になって、少年の祖父イェルロフの元へ届いた。これは何故なのか、何を意味するのか…とにかくゆっくりと薄い霧の中を彷徨わされているような物語だったけれど、じれったさは感じなかった。むしろイェルロフと娘のユリアが過去に向き合い、二十数年の時を取り戻すかのような親子愛がゆっくりと綴られていく、その時間が心地よかった。そしてたどり着いた真実。このゆっくりゆったりさに身を委ねていただけに衝撃は大きかったかも。2018/11/25

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