集英社文芸単行本<br> むつかしきこと承り候 公事指南控帳

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集英社文芸単行本
むつかしきこと承り候 公事指南控帳

  • 著者名:岩井三四二【著】
  • 価格 ¥1,361(本体¥1,238)
  • 集英社(2016/02発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087714968

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内容説明

江戸時代、薬屋ながら副業として公事(裁判)の相談に乗る時次郎。そこそこ儲かっているが、高い書物を買うので余裕はあまりない。それと子作りに熱心でない事を恋女房からは責められ通しだ。おまけに持ち込まれるもめ事は、一筋縄ではいかないものばかり。不貞を働いたとして殺された夫の潔白を証明したい、息子が呪い殺されたのでそのことをお上に訴えたい、破産したのに財産を隠していた相手から金を取り戻したい――。さて、次はどんな厄介な事件が舞い込んでくるのやら?

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤枝梅安

36
岩井さんの本にしては装丁が女性向け。岩井さんの出世作は公事を扱った小説だった。戦国時代あるいはその前を題材として採り上げてきた岩井さんがついに(?)江戸の下町、しかも門仲を舞台に人情話を書いた。こういうのを待っていたんだよね。7編をまとめた1冊。公事宿に奉公していて、店の娘と駆け落ちしたが、後に許されて薬屋を営む時次郎。長崎で学ぶという夢を果たすために裏稼業として公事の相談に乗る、という設定。江戸版「日常の謎」という趣。今の生活に落ち着く前の駆け落ちと逃避行の間の物語もいずれ書いてくれると期待している。2013/10/14

里季

25
薬屋を営み、副業に公事(裁判)の手助けをして、お金を貯め、高い本草学の本を買ったり、長崎に勉強に行きたいという夢を持っている主人公時次郎。いろいろな案件を集めてあるが、「お家お宝の仏像が焼け焦げて元通りにせよ、と無理を言う」と言う話が面白かった。岩井三四ニ氏は何冊か読んだが、「はて面妖」「たいがいにせえ」「おくうたま」を読んだ時のような面白さが、本書ではあまり感じられず、残念。ただ、ひたすら子宝に恵まれたいのに、亭主は協力してくれない妻のおみつが可愛い。是非とも念願の子を授かってほしいものだ。2013/10/02

onasu

23
町名主のとこで解決できなかった案件を、おそれながら、とお奉行様に裁きを求めるという公事。今で言う最高裁か。  そこには、街役人以外出る幕はないのだけど、金が絡めば裏もある。事例や証拠を探して公事を有利に運ばせよう、て黒子のアドバイザー。  そんな裏の顔を持つのが門前仲町の薬種屋/時次郎。訴え出たい、訴えたが上手く運ばない、て訴人が助けを求めに。金は取るが、勧善懲悪てとこは異業種の仕事人か。  題材もネーミングもよく、読み飽きない。初編で使われた合い言葉が、それ以降出てこない、てのは重箱の隅かな?2014/03/15

007

10
派手さはないけれどなかなか面白い内容で、すっかり主人公時次郎のファンになりました。難題を抱えた人が人伝てに聞いた時次郎の薬屋に相談を持ち込み、時次郎の知恵と機転と度胸とで意外な方向に解決します。時次郎が長崎遊学を志していることや、定廻り同心に目を付けられていることなど含みを持たせているので、今後の展開に期待がかかります。2013/03/02

あかんべ

9
連載となると内容を刻まなくてはならなく、いままで読んだ読みきりの短編集とは趣の異なる作品。公事物としては佐藤雅美作品がおもしろかったが、これは公事扱いとなった場合時間と金がかかることから、裏技で早期解決をアドバイスする物語。あくまでアドバイスだから知恵の勝負である。本人は長崎で学ぶための資金作りなのだが、恋女房は子作りが目下の望み。そのせめぎあいもほほえましい。いままで主人公なのに最後に酷い目にあって死んでしまったりする話に岩井作品のよさを感じていたのでこの安定感は、ちょっととまどい。だが今後町方との攻防2013/03/06

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