内容説明
K省官僚の合田仙一が、深夜帰宅途中に襲撃され、意識不明の重体に。妻の智子は、長野県諏訪へ向かい、夫の愛唱歌『琵琶湖周航の歌』のオルゴールを注文。枕元でそのメロディを聴かせ、意識回復に望みをかける。十津川警部は、合田が太平洋航空機事故の審議委員だったことを知り、K省関係者に探りを入れるが……。官僚襲撃の裏に、航空機事故隠蔽の陰謀か!? 難事件の究明に挑む十津川警部の活躍。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あつひめ
27
正しい判断と関係であれば何も問題がないが間違った守り体制で企業と大臣と秘書が繋がることもある。今回はとても切ないラストであったと思う。正しい判断をしようとしていた人の命を奪う男の嫉妬。大きな問題の陰に長年にわたって心の中に積もった感情が判断を誤らせてしまった。事件を起こす人がみんな心の弱さのせいとは限らないけど後味はあまりよくない。ただ残された人のことを思うとどんな死でも愛する人を失う悲しみの大きさは計り知れないと思いながら本を閉じた。ソースカツ丼が気になった。ネットで見て作ってみようと思う。2024/01/29
ビスコ
2
企業と役所の癒着を描いた、社会派トラベルミステリ。K省官僚殺人未遂、そして暴かれる癒着、そこに斬り込む十津川警部。 社会派推理としての楽しみもさることながら、合田夫人の献身的な介護、そして強い愛にも注目したい。「飯田線・愛と死の旋律」とは、なんとも素敵な、本書をよく表しているタイトル。2014/11/21