内容説明
心潤す、舞台、映画、美術展の愉しみ方
作品は本来、自由に見ていいものだと思う。「自由に見る」とはどういうことかを考えて、それは要するに「絵を見ない」ことだという極論にたどり着いた。
たとえば、美術展に行く楽しみを、筆者はこのように述べています。巷に存在する、知識や批判をちりばめた評論とはまったく違う、筆者ならではの感動の解釈がそこかしこにちりばめられています。そこからみえてくるのは、決して自分の意見を押しつけるでもなく、批判はまったくなく、ただただ筆者本人が愉しみ、感動をしている姿。すると、舞台、映画、美術展…それぞれの作品の魅力が、かえって色鮮やかに浮かんできます。「今度、舞台に行ってみようかな」「映画久しぶりに観に行きたいな」、そんな気持ちに、自然にさせてくれるのです。
そして、ただ過ごしている毎日も、こんな感動がすぐ近くにあり、そしてそれを愉しむ心を持てば、とても素敵なきらきらしたものになる…
そんな生き方へのメッセージともなって、じんわりと心が癒される作品となっています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てくてく
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著者の劇をはじめとする舞台、映画、絵画などの鑑賞エッセイ。奇をてらったところのない素直さが著者の文章の魅力なのだろうか。ただ、幼い頃から母である有吉佐和子氏に連れられて観劇を楽しんでいただけにおそらくは劇に関する栄養をしっかりとって育ったのだろうなと羨ましく思った。「映画によって、それまで自分が意識的に、あるいは無意識的に考えていたことがすくいあげられるのだ。これが「自分がどう見たか」の「自分」だろう。映画はある意味、自分を試してくる。」という映画エッセイに取り組み始めたころの文章が印象的だった。2014/03/07
yaemon1950
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作者の興味をひいたものが判り、知らなかった作品を知ることが出来ました。作中で紹介されていた「岸辺のふたり」をyoutubeで検索して見ることもでき、これも出会いかと思いました。2013/05/25
ふしみ
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オペラ座の怪人、ミュージカルに本来備わっている予定調和がない作品という解釈、だからこそ身近に感じられる、なるほど2021/03/21