内容説明
21世紀、巨大な軍産複合体と化したアメリカは、地球のほぼ全域を支配下におさめていた。資源を求め、各国は唯一残されていた月に進出する。だが、莫大な軍事費を捻出するために企業の戦時協力金が不可欠な陸軍は、平和維持活動の名のもとに月に兵士を派遣、諸外国の施設を占領しコロニーを建設するが……他国軍からの執拗な攻撃と、理不尽な軍上層部の命令から部下の命を守るため、スターク軍曹の月面での戦いが始まる!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sin
29
怖い、戦争を執行するにあたって歩兵の存在は、チェスのポーンのようなものとわかっていても、エスエフである本作のような架空戦記で戦争の、いや訳の分かっていない人物の唱える大義の怖さを感じた。2012/05/17
SINKEN
10
【総評】★★★☆☆【感想】これはもうミリタリーの体をしたIT業界中間管理職の悲哀を描いた物語に違いない。実行不可能な作戦、上官の無茶振り、慢性的な人員と物資の不足、敗戦濃厚の闘いに実践投入される新兵たち。読み進めるうちにこれまで携わってきた数々のプロジェクトが走馬灯のごとく蘇ってきました。主人公スターク軍曹を取り巻く救いのない状況に思わずこちらの魂も震えます。デスプロジェクトやブラック企業の社畜は心して読んでみたらいいと思う。2019/01/22
ノリピー大尉
5
いまいち盛り上がりに欠けたが、続巻は読みます。2013/10/20
ぶーにゃん@積ん読本解消中
4
「彷徨よえる艦隊」シリーズの質の良さを知っている身として処女作もそれなりのクオリティであろうと思いましたが予想以上でした。現代のアメリカ政府と軍隊に対する痛烈な批判を提起させる展開にイラクやアフガンでの米軍の状況とダブって見えました。ただ、あまりにも利益確保に貪欲な企業、私利私欲をむき出しにする軍上層部の醜悪ぶりにこれじゃ戦争に勝てないですね。士官が適切な作戦計画を立案できず、さらに部隊の指揮を適切に執れなかったら下士官が反乱を起こすのも無理がない。これからどのように筋が展開していくか楽しみです。2012/06/18
ウォーカージョン
2
机上の空論を現場に押し付けて、うまくいかないと現場のせいにする幹部。現場の意見をバカにして無視する上層部。無理な注文に振り回されて消耗する現場。私の職場のことかな。あと、撃たれるまで撃ち返しちゃいけないとか使用する弾薬の数にに制限があるとか民間人に冷たい目で見られているとか、自衛隊が元ネタかな。作者は元海兵隊員だけあって戦闘がリアル。彷徨える艦隊も良かったが、これも良かった。耐えて耐えて最後に爆発する展開は、いい意味で予想通り。待ってましたという感じ。自分の職場と似ているだけに、感情移入しすぎか。2015/05/21