内容説明
日本の次期月探査計画に関わっていた大学院生・蓮見省一の夢は、彗星が月面に衝突した瞬間に潰え、恋人の奈美までが彼のもとを去った。省一はただ、奈美への愛をボーカロイドの小隅レイに歌わせ、ピアピア動画にアップロードするしかなかった。しかし、月からの放出物が地球に双極ジェットを形成することが判明、ピアピア技術部による“宇宙男プロジェクト”が開始される……。ネットと宇宙開発の未来を描く4篇収録の連作集
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
た〜
123
久しぶりに新作のSFを読んだ。かなり面白い ところでこの話同著者の「ふわふわの泉」になんとなく似ている。全然違う話だけれど・・・というか、もう一度読みたくなってきた。どこにしまったかな? ピアピアを気に入って、まだ読んで無い人にはオススメです2012/04/19
くろり - しろくろりちよ
111
「そもそもちゃんとしたSF作家だったのというのは驚きだった―帯」まさに。ボーカロイド+ニコニコ動画でここまでSFするとは思ってなかった。「ボーカロイド現象」彗星の月への衝突、有人宇宙飛行、蜘蛛の巣軌道エベーター、鯨との会話、宇宙人との遭遇。ネット専門用語に序盤は引き気味だったけれど、だんだん面白くなってくる。ボカロ好きなら宇宙人ボカロ実体化の素晴らしさもひとしきり。こんなにハッピーにしてくれる宇宙人はいない。ニコニコへの愛だ。「人間でないものが幸せになると、人間は幸せになる」深い。2012/05/17
ひめありす@灯れ松明の火
96
ボーカロイドもニコニコ動画も、おおむね理解していない自信のある私ですが(マトリョーシカのパーカーは散々っぱら作ったけど)徹底的に相性の悪そうなものをたまに探して読むのもよかろうと思って読みました。こういう相性の悪いSFは時々、普遍的でおおらかな愛情や自然の美しさを歌っていて、とっても胸が熱くなるような展開があったりするので始末が悪い。探すのをやめられなくなる。おっちゃんたちが今様な単語を使っているのも面白い。あと数十年たって、私達がおっちゃんの代になったら、こんな言葉遣いのおっちゃん達になるのだろう。2012/04/09
akira
61
【初見様歓迎】Kindleで南極点のピアピア動画読んでみた【一回目】 予想以上に面白かった。 現代的な視点で、ちゃんとSF。10年後に読めば、2010年前後の世界を知るひとつのきっかけになるかも。 壮大な夢を見、実現しようとする者たち。時にバカバカしく、現代社会の理解を超えるが、それに向かってみようという人間が集まり始めた時、それはとても楽しい。大学時代のサークルのノリのような、あの不思議で大きなエネルギー。 こういった趣向も好き。似たようなのがあれば読んでみたい。 「けしからん、もっとやれ」 2013/05/06
イーダ
57
ボカロとネットワークの可能性を説いた短編小説集・・・と思ってたら長門みたいな(?)宇宙人まで出てきてびっくり。最終的に各話が一緒になってびっくりしました。 各所にオタクっぽいところを織り交ぜてあるのは野尻先生の茶目っ気なのだろうか? 実は野尻先生の小説読んだの初めてです。すいません。 全体に「棚から牡丹餅」的な話が多かったような気がしないでもないですが、ネットワークには意外とこういうものもあるよね。 という感じで、読んでて楽しかったです。2013/03/01