内容説明
大坂の大店質屋で、天文学の研究に精進する宗介は、阿蘭陀語の天才にして、眉目秀麗な町人学者。そんな宗介のもとに、ある日、蘭語の文が持ち込まれる。それは、遊郭で死んだ女郎が生前大切にしていたもので、女の身許を明かす手掛かりを掴むため、解読をしてほしいと いう。だが、他愛のないやりとりだけが記されていたこの文が、やがて大坂の街を揺るがす、ある巨大な陰謀に繋がっていく――人気シリーズ第二弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
24
天文御用十一屋シリーズ2作目。殺された女郎が持っていた阿蘭陀語の書付の翻訳を頼まれた天才的な語学と天文学の能力を持つ宗介。長崎から来た商人と通詞に阿蘭陀語勝負を挑まれ、事件に巻き込まれる宗介と、用心棒の小次郎。見え隠れする希少な阿蘭陀語の辞典……。大坂の質屋十一屋に用心棒として暮らす江戸から来た侍の小次郎と、大坂商人たちの考えの違いなどがおもしろい。活気あふれる大店の天文バカたちの様子が読んでいてワクワクさせられます。2015/07/16
miwmiw
12
2巻。天文御用十一屋の宗介さんに蘭語の文の解読依頼がくる。その後宗介さんが事件に巻き込まれたと思い、用心棒の小次郎は動き出す。設定はかなり好きで、もっと面白くなりそうなんだけど、天文の話が少ないし、主人公の小次郎の存在が弱くて、今ひとつ物足りないのが残念だなあ。2012/05/27
だいしょう@SR推進委員会
8
八神小次郎は、腕はたつが、探索や駆け引きにはどうも今一つで、主人公としてはなんだかたよりない。抜け荷がらみの事件は、大坂らしい目新しさもあって面白かったのだが、そこのところがまだるっこしくて、ちょっとイライラ。思わず、しっかり頭回せ~、足動かせ~と、背中をどつきたくなる。出番は少ないが、升屋の番頭のキャラがいい。武士である小次郎より肝が据わっていて、この番頭が出てくると話がきっちりとしまった。今回は、この升屋の主人と番頭の二人勝ちってとこでしょうかね。2012/04/04
あかんべ
7
十一屋という居心地いい家に宗介は甘えすぎ。役目の外に関心はなし。って設定が足を引っ張って小次郎ばかりがおたおたする。読んでいて歯がゆい。自分の周りに大切なものがたくさんあるのを気づいて欲しい。2014/08/15
もっさ
3
升屋の番頭さんに驚き。築山作品ならこの人は出て当たり前なのかもしれない、と読後に理解。大坂は、江戸とはまた違った気持ち良さがあるなぁと、この人の作品を読むたび思う。2012/01/15