内容説明
忠臣蔵の虚構と真実を解き明かす!日本史の常識を覆す全日本人必読の新・日本史!
歴史上の事実である「赤穂事件」はどのようにして「忠臣蔵」という「虚構のタイトル」で呼ばれるようになったのか? 「吉良の浅野イジメが作り話なのは会社員の接待の常識からもわかる」「最も基本的な史料である浅野内匠頭の辞世すら最初からなかった」「吉良邸に討ち入った四十七士に死者、重傷者がひとりも出なかったのはなぜか」など、従来の「常識」に真っ向から異を唱える意欲作。江戸庶民の喝采を浴びた赤穂事件の真実に迫る――
目次
第1章 忠臣蔵、その虚構と真実編
第2章 将軍と御用人システム編
第3章 大坂・江戸 大商人の世界編
第4章 江戸時代の東アジア外交I――明と日本編
第5章 江戸時代の東アジア外交II――琉球王国と日本編
年表
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
130
「忠臣蔵」と「綱吉」についての従来からの一般的な見解をかなり足元からひっくり返しているような感じです。まあある程度忠臣蔵についてはかなりな脚色部分があるのではないかということがさまざまな文献に書かれているということを私も理解していたのでありそうな話だと感じました。綱吉については側用人がしっかりしていたのではないかと思います。いまの官房長官ですね。結構楽しめた巻でした。2016/05/19
gonta19
85
2011/12/6 Amazonより届く。 2016/3/18〜4/3 江戸時代に入って、忠臣蔵、商人文化、日明の関係、琉球との関係に焦点をあてた、いつもの井沢節。ではあるが、本書は現代の世の中を生き抜くための示唆に溢れている。倉庫に入れずに、手元に置いておこう。2016/04/03
みやび
38
前巻を読んだのが結構前なので内容を忘れかけてはいたけれど、この巻に続いていた「忠臣蔵の真実」についての話はやはり興味深く面白かった。徳川綱吉が暗君ではなく、実は名君であったと言うのも成る程と頷ける。琉球や竹島など、明との外交関係については、やはり当時から悩まされていたのかと苦笑。そしてそれが現在の外交問題にまで影響を与えていると。歴史は点ではなく線で繋がっている事を改めて実感させられる。こういうのを読むと、本当のところはどうだったんだろうと、いつも思い巡らせてしまいます。2019/11/11
ころこ
32
江戸に入って大きな発見が目白押しで、逆説の奥深さを再認識します。忠臣蔵の解釈は以前の他の著作で知っていましたが、忠臣蔵が流行った土壌が綱吉の文治政治に対する民衆の反発からであり、しかし評判の悪かったその文治政治は、明治維新から続く今日の社会の基礎となる考え方をつくったと綱吉の政治手腕を評価する著者の逆説はかなり鋭いです。さらに、喧嘩両成敗の情緒的な裁定を支持した浅見絅斎らの論が趨勢になり、論理的首尾一貫性のある佐藤直方の考え方が右派の主流にならなかったことは、後の二・二六事件の温床になっていると山本七平の2020/07/26
デビっちん
31
シリーズ1巻以来の大きな衝撃を受けた内容でした。忠臣蔵と綱吉について、一般的な見解がガラッとひっくり返るような感じです。その背景にある儒教、朱子学の影響について丹念に解説がなされていて、西洋のプロテスタントと資本主義の発展とは違った日本資本主義の精神、為替制度の発展と禅との結びつき、士農工商の順番などの解説のあたりが大変面白かったです。忠臣蔵をきちんと見たことがないので、この機会に見てみようと思います。2017/09/17