内容説明
大晦日を前に慌ただしさを増す麻布の町で、人斬り事件が発生。岡っ引きの源蔵は下手人が小鈴の店に逃げ込んだと睨む。案の定、店には怪しい客がいた。だが女将の小鈴だけは「あの人は違う」となぜか自信たっぷり。一方、幕府批判の書を著して行方知れずとなっていた小鈴の父・戸田吟斎は、鳥居耀蔵により幽閉の憂き目を見ていた……。時代小説の俊英が放つ大好評シリーズ第四弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
69
男の夢はいつしか女の夢になった。男の夢を応援していたのに、男は女の前から姿を消した。時が経ち「男のことはもう待ってない」と女はいう。それでも女は夢に殉じた。だって夢は「染(うつ)る」ものだから。〈愛と自由と平等〉は開国へのキーワード。支配階級からみれば幕府を転覆させる危険な思想。おこうが愛した小鈴の父は〈禁断の署〉を著した罪で、本丸付き目付・鳥居耀蔵に幽閉されていた……。時代劇とは異なる空気をまとって遠山金四郎景元登場。今後、小鈴たちの敵となるか味方となるかは未知数。物語の合間に入る小さな謎解きが冴える。2015/05/10
baba
26
酒場に来る林は鳥居耀藏であった。その上大塩平八郎が生きていて変に活動している。そんな世界と酒場の出入りする人々の小さな事件の落差が笑える。2016/02/11
calaf
18
現在は、東京ー京都往復なんて、半日あれば十分に出来る世の中になってますよねぇ...でも確かに、江戸時代では絶対に無理だ (^_^;;;2013/04/24
とく たま
15
江戸の後期、天保年間くらいのお話で、キリシタンや幕府に付け狙われるテロ(一揆?!)を企む歴史人物など、が描かれている。それと微妙に関わり合う、人をひきつる魅力的な酒場の女とそに集う人たちの事件や謎の解決譚が軽妙で楽しめる。個人的には勘当された札差の跡継ぎの(隠れた姿の)ひそかな活躍にドキドキさせられる。元同心も元瓦版屋もステキだけどね~!シリーズ並べて一気に読みたいんだけど・・2017/01/09
サンディK32
14
愛と自由と平等… 菊川橋とは聞いたことが無いが、悪漢のイメージしかない鳥居耀蔵の別の顔を創作しているのは興味深いです。少し込み入り過ぎな感は否めませんが、連読してしまいますね。2016/06/15