内容説明
水月楼の女将が不審死すると、いきなり下女同然の扱いを受け、活水(かつすい)女学校に通わせる約束も反故にされる。が、彼女を案ずる絹たちの計らいで水月楼を出て芸妓見習いとなった蝶は、アメリカ領事主催の宴会に呼ばれ、故障で寄港していた戦艦の士官フランクリン少尉と出会い、恋に落ちる……。感動の力作長編。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アルプスの空♪
15
久々に本を読み出したら一気に読めました!!面白い!!!生い立ちから死を迎えるまでの歳月の中で、一貫して"凛とした清さ”に喝采です(^_-)-☆2011/12/12
との@恥をかいて気分すっきり。
13
下巻はひたすらお蝶の「最期」に向かって読み進めることになる。オペラ蝶々婦人では語られることのない、武士の娘としてのお蝶、明治という時代と長崎の町、そこに生きる人々を描き出すことで、私たちはお蝶をまるで実在した人の如くリアリティをもつのである。彼女の生き様と死に様はいつまでも私の心の中に居ついてしまうのである。2013/06/04
雛子
10
蝶々さん死んじゃった。いや、わかってた結末ではあるんだけど。アメリカ人の若き海軍士官と所帯をもって夢見鳥でいられたのもつかの間、身ごもった蝶々さんを残して彼は船の人。生まれた子を抱えて彼の帰りを待つも、彼の本国の妻が現れて愛児を連れていってしまう。アメリカ人の若い女性らしい軽口に、誇りを傷つけられた蝶々さんは自害する。アメリカに憧れて、自分以外の自分に憧れて。誇り高いのはわかるんだけど、夢見がち過ぎる蝶々さんに感情移入できないのは、私が武家の血もひいていない現代人だから?長崎情緒たっぷりなのは、楽しんだ。2012/08/10
六花
9
友達のユリがいるアメリカへ行く。それが蝶の夢。働きながら独学で英語を学び、渡米したい一心でアメリカ海軍士官と電撃結婚する。蝶は本気、夫は遊び。周りは長崎結婚という買春の実態を知っていながら腫れもの扱いして蝶には真実を告げないまま、3ヶ月で夫は国に帰ってしまう。その後夫の帰りを待ちながら蝶は男児を出産する。結婚後の夫に依存して現実を見ようとしない蝶にイライラしてしまった。誇りを守るため死を選んだというより、大事な人を次々と失って心がポッキリ折れちゃったのかなという印象が残った。激動の人生だったものね…。2016/12/12
miyu
9
途中から失速してしまいました。人が生きた筋なのだからどうと言うことも出来ないけれど、フランクリンが出てきてから、あ、良くない方向に進む、と感じ、まさにその通りになってしまいました。蝶々さんには、生き抜いて生き抜いてほしかった。長崎の描写が情緒に溢れていて、情景が思い浮かび楽しかったです。すべて読み終え、上巻の序章を読み返すと、木原クンの思いが痛いほど伝わりました。2013/09/12