内容説明
東京郊外のニュータウン――美観やセキュリティが万全に整えられたこの街で次々と起こる異変。チェロ奏者キム・イェニョンと再会した八神は、ある人物の欲望が生んだ禍々しい計画の存在に気づく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kumo
2
★★★★☆2014/06/05
やんも
2
うしろ、すきま、ひだり、さかさ、全てが結びつき、人々の心の根元となる“おそれ”に到達した。『うしろ』で行われた実験の規模が街全体に拡大され、全世界へ放たれようとする。悪神の復活、文字の力によってそれを操作せんとする計画。これにたち向かうのは、たったふたり。だがふたりの背後には、八百万の神々と“うしろ”の世界からさす始源の光があった。はたして、有史以前の悪神にうちかてるのか? 終盤のシュールな世界は作者らしい異形のもの。クトゥルフ神話と一脈通じるものがあるかも。2012/12/25
もっち
2
これはおもしろかった 倉阪ホラーの様々な要素がぐっと詰め込まれ、それが大変真っ当にヒロイックなエンタテインメントに結実している 例によってぼろぼろの八神宇鏡がすげえかっこいい ただ実は街中で発生しているであろう血みどろ惨劇部分はあまり目に触れず、石母川の「隔靴掻痒」という気持ちも少し分かる このシリーズはもっと読みたいな2011/06/02
ジャッカル佐崎
1
ひらがな3文字シリーズ中でもかなり静かな始まりを見せ、不穏な雰囲気が漂ってくるのは全体の4割も過ぎてからである。財力と権力を持ち、芸術を愛し、家族にも恵まれた地方の名士・石母川の心の奥底は「おそれ」に満ちていた。人間誰しも逃れられない「死」へのおそれ。自らの老いと共に世界の終わりを望む石母川は、地方小都市に結界を貼り、旧き悪神を育てていた…。1作ごとにテイストの異なるこのシリーズだが、今回はわりとストレートな伝奇ホラー。やや冗長な部分もあるが雰囲気は抜群で、締めの一作としては上々の出来ではなかろうか。2022/09/29
らむり
1
倉阪鬼一郎さんの作品って、大概評価低いけど、分かる気がします。★☆☆☆☆