内容説明
豊臣秀吉亡き後、再び風雲急を告げる乱世。徳川家康に従うか、それとも石田三成につくか。東西両軍どちらに味方するかで、それぞれの思惑が錯綜するなか、第三の道を模索する英傑がいた。その名は、細川幽斎。足利幕府最後の将軍の異母兄にして、当代唯一の「古今伝授」の伝承者である彼は、加賀前田家、そして朝廷をも巻き込んだ一大諜報戦を仕掛けた。関ヶ原合戦の知られざる真相をあばく大作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
48
細川幽斎のまわりで物語が展開するのですが、ハッキリ言って序盤は退屈でした。しかし物語が進むにつれ、自分の知っている歴史の表の顔だけでなく、もしかしたらと思えるような裏の出来事を覗き見る楽しさにワクワクして来ました。ガラシャや三成の章は、馴染みがあるだけにやっぱり面白かったし、下巻は更に期待出来そうな予感がします。 2014/07/03
🐾ドライ🐾
6
三十一文字(みそひともじ)の中で語られる世界観には驚くばかりだが、1000年以上前に詠まれた和歌が残っている理由がわかる。その『古今伝授』が細川幽斎の切り札となる。どうしても政治的駆け引きが中心となるので冗長気味なのが残念。 個人的には群雄割拠する信長が生きていた辺りの話の方が熱くなれる。『信長燃ゆ』の方が面白かった。2016/06/23
まりこ
3
細川幽斎の画策。多門が最初と感じが違ってくる。前田家は何かよくわからない。ガラシャの辺りは面白かった。2016/01/24
木賊
3
豊臣秀吉亡き後、東西どちらでもない、第三の勢力を築こうと策動する細川幽斎。この幽斎の勢力を中心に、関ヶ原の合戦を描く群像劇。家康が全然出て来ないのが気になりつつ下巻へ。2012/10/25
美代子
2
豊臣対徳川の対決ではなく、第三の道を選んだ人たちが居た、というのが本作の大まかなお話。多くの人間の思惑が動くのはめまぐるしいが、そうした犠牲の一つであるガラシャとその子供たちを助けられなかった描写はつらいなあ~。どういう風に〆られるのか私は下巻へゆく。 ところで、三成へのフォローもいれてあるのですごくうれしい。ウフフのふ。もう安部さんという作家を好きになってしまった…。2014/02/24