内容説明
周囲の人間に不審な死をもたらす「死神(タナトス)体質」の兄・美樹(よしき)と、発生した事件を解決する「探偵体質」の弟・真樹(まさき)。変わり者のミステリー作家が孤島に建てた館・水鱗館(すいりんかん)に向かった二人は、案の定、不可解な密室殺人事件に遭遇する。双子の少年と新米刑事が活躍する人気シリーズの第1作。第37回メフィスト賞受賞。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒロユキ
45
本格の要素を詰め込む傍ら、それを真っ向から否定する様が面白い現代風のアンチミステリ。自信満々に作ったものが見向きもされないのはさぞ悔しかろう。確かにそれなりのトリックのはずなのに全く印象に残りません(笑)蘊蓄の部分も自分は苦にならず楽しく読めた。2011/06/02
ヒロユキ
43
再読。終盤の自分勝手な主演たちをボロクソにこき下ろす探偵、すらも恐怖させる死神パワーで気分爽快(?)本格の枠組みを越えたサバイバルとは怖いものだ。2013/03/01
hanchyan@連戦連勝の前には必ず負けがある
31
著者お初。すごく面白かった。まんがチックなスピード感溢れる砕けた口調で綴られるはなしはパッと観ラノベ?イヤイヤ。レーダーを撹乱するチャフのように鏤められた蘊蓄・オチャラケを丁寧に取り除くと、敢えてアンチであろうとする身から真摯な本格ミステリ愛が溢れてたぞ!解説が鳥飼さんってのも頷ける。気がする(笑)。ラノベに飽き足りなくなった高校生あたりが読んでバチバチ覚醒してるのが目に浮かぶようでウレシイかぎりですなあ!自分もおっさんだがバチバチ追っかけます(笑)。2014/07/23
nins
26
第37回メフィスト賞受賞作。メフィスト賞らしいオリジナリティ。双子の兄弟、美樹と真樹。そして刑事の高槻。真樹は高校生探偵としての顔をもち、美樹の周りには常に死がつきまとう死神の顔をもつ。この3人が、招待されたのは孤島の館。他の客は揃いもそろってミステリ作家。会話内容もそこかしこで本格、本格。出だしの兄弟のキャラに戸惑いながらも、途中からのスピード展開は見事。要所、要所で入れてくる魚蘊蓄とかマンガネタも。北条司より浦沢MONSTER。ミステリを読んだことがある人にはいろいろな意味で堪らない作品。2011/03/02
朝比奈さん
25
とうとう手を染めた、間違えた、手を出したぞ、汀こるもの。手を出したら戻れない(どこに?)と思っていたので見て見ぬふりしてたんだが。だって何よ、このペンネーム、どういう意味よ。そしてアクアリスト怖いよ、蝿の王最恐だよ!!「本格」の対義語は何だろう、と常々気の利いた答えを探していたのだが、その解の1例がここにあったよ。探偵に「さて・・・」って言わせないなんて、なんて極悪非道(違)!とりあえず、ナウシカ再読しておこうかな。そして淡水魚買っている上司を明日から色眼鏡で見よう(違)2016/02/13