内容説明
夏祭りの夜に起きた大殺戮。悲鳴と嗚咽に包まれた町を後にして、選ばれし者は目的の地へと急ぐ。それが何よりも残酷であろうとも、真実に近付くために。流血で塗り固められた大地の上でもなお、人類は生き抜かなければならない。構想30年、想像力の限りを尽くして描かれた五感と魂を揺さぶる記念碑的大傑作! PLAYBOYミステリー大賞2008年 第1位、ベストSF2008(国内篇) (講談社文庫)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sk4
373
子供の頃につくば山の麓で知った、呪力を持つ者と持たぬ者、そして呪力を持つ者同士の、血で血を洗う暗黒歴史。それがまた再び幕を開ける。 人間である以上1000年経っても何一つ進歩しない。これほど血を流しても、結局は歴史上の事件の一つとしてアーカイブにファイルを増やすだけの。 あの時、愛を信じて業魔によって地球ごと割れた方がマシだったのではないか?と思わせるほどの悲しくて虚しい結末。 貴志祐介氏の強大な想像力によって作られた、神栖66町に至るこの壮大な世界は、この『新世界より』では閉じなかったといえる。2012/11/06
takaC
366
最終章最終節の猿の惑星的衝撃は予想外だった。一番あやふやなのは、千年後に日本列島があるのかということ。2011/04/17
いおむ
363
面白かった!人間に対するいろいろな問題提起を投げかけられる作品でもあり、読みごたえ十分!「家路」の歌詞が胸にしみる(>_<)2017/09/17
absinthe
347
遂に完結!面白かった。世界も良いしその他のアイデアも良かったしオチも良かった。化けネズミについてはうすうす気づいていたが。難を言うと下巻の後半、やや駆け足気味だった。もう少し余韻を持たせた終わり方でもよかったのでは。2017/04/12
マーム
272
バケネズミと神栖66町住民との戦争が勃発。その先頭に立つのが悪鬼という最悪の事態。早季たちは荒廃した東京の地下洞窟で町の存亡を賭けた決戦を挑みます。最後に明かされる衝撃の事実により、この物語の構図がガラリと変わったように感じるのは、ミステリ作家でもある著者の力量かと感銘を受けました。千年後の世界、攻撃抑制と愧死機構の二つを重い枷とすることにより呪力を使えるようになっても、それは人の革新たり得ず、人が生まれながらに有する業はずっと纏わり付き、それが条件が整うと悪鬼という形で発現するということなのでしょうか。2012/07/15