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内容説明
日本の「母親中心」の子育ての歴史をたどる。「子育て」要求の声が確実に強まっている。「少子化解消のために子どもを産む」「出産後は仕事に復帰」など両立不可能な期待に燃え尽きていく母親へのメッセージ。(講談社現代新書)
目次
第1章 江戸時代の子育て事情
第2章 良妻賢母と「母性愛」
第3章 息子たちが求めてやまない母性
第4章 「良妻賢母」の新たなイメージ
第5章 「三歳児神話」の呪縛
第6章 「親子関係」の本質
第7章 母親幻想のゆくえ
第8章 ニッポンの子育て・七つのつぶやき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コニコ@共楽
21
母親と子どもの関係について、ずっと関心を持っています。この本では、精神科医の香山リカ先生が、日本の歴史を紐解き、現代に至る母親幻想や三歳児神話を解説しています。フェミニズムでも言われているように、今の女性の専業主婦などの典型例は、江戸時代以降に作られ、昭和の経済成長期に強化されてきたことが、母親像にも大きく影響していたんですね。幻想の母と現実の母を見極めることの大事さを感じます。「親子関係」の本質が、「自分と自分の親との関係」という件も、なるほどと思えました。2021/03/15
itokake
16
図書館で借りた。本書の小口にうっすらと手垢。多くの人がこの本を読んだんだ…。新書では珍しい。私は母親になって10年以上たつが、今までにあった数々の圧を思い出しながら読んだ。江戸時代の子育て(=長男の養育)は父が担った。明治から子育てが母にシフトし、高度経済成長期あたりからキツくなった。押し付けられた役割分担のせいで苦しくなっていたことを自覚し、徐々に不当な役からは降りて行こうと思う。〇才までに~すると、子供が賢くなるっていうあれ、神経神話っていうのか。母性神話といい、この界隈にはファンタジーが多いな。2022/08/08
佐島楓
16
社会的に求められる母親としてのイメージと現実の子育てとのギャップなど、子どもがいない私でも感覚的に理解できる話題だった。母子癒着という問題は根深い。かといって育児に他人が入り込んでほしくないという本音もあると思う。父親側の意識が変わっても、社会の意識がもっとおおらかにならないと結果的には何も変わらないのではないだろうか。2013/02/17
kumako
14
子育てが上手く出来たかの答えはどのレベルから評価するかによって変わるし、そもそも別人格のものを操作するなんて絶対無理なんだよぅ…というスタンスの私には、本書に登場する良妻賢母に囚われるお母さんの気持ちには寄り添え切れない。 母親幻想は世界共通で有り、信仰がない日本人には、それを聖母に託すことができなくて良妻賢母の姿を世間も、そして母親自身さえも母親に押し付けてしまう説は面白いが、根が深すぎて解決しようが無いと思った。 母も父も世間も、もっともっと柔軟に、気を抜いて良い部分は抜いて、子育て出来たらいいのに。2023/01/15
しげ
11
聖母でもなく鬼ババでもない、がんばるときもあれば怠けるときもある、そんな女性が「母親」であってもいいじゃない、とあらためて感じました。ひとりの人間として、これから生まれてくる「ひとりの人間」のために出来ることをやりたいと感じました。2013/09/16