内容説明
朋輩の喜助と羚羊狩に出かけた半蔵は、突如現れた巨熊に襲われ、喜助は殺され半蔵も傷を負った。「そやつは穴もたずに違えねえ。おめえたちの手に負える相手じゃねえんだ」と言った祖父にも死なれ、天涯孤独となった半蔵は、マタギ仲間からもはずされた。喜助の無念も晴らせぬままに5年の歳月が過ぎたある日、狼撃ちで生計を立てていた半蔵に、南部藩の御野馬別当から熊退治の命が下る。山に入った半蔵の目の前に、あの「穴もたず」が再び姿を見せた…。誇り高きマタギたちの物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アッシュ姉
58
1110冊目はクマ本で飾りたくて手にするも、マタギの日常風景がメインで、クマの出番が少なかった。穴もたずの大熊と聞いて胸が高鳴ったが、一メートル五十センチの百五十キロって、小熊じゃなくて?読み間違いかと何度も確かめてしまった。猟のシーンも緊迫感はなく、淡々とあっさりしている。クマほぼ無抵抗。うおおおん!最初は物足りなく感じたものの、思慮深い若き統領の成長を穏やかに見守れてよかった。2018/09/14
Aiichiro Nakajima
22
松本清張賞受賞作家、初読み。 季節的にはずれましたが古風な東北の言い回しで昔の熊猟について勉強できた気がします。 2017/05/21
のぼる
18
「邂逅の森」を読んでいるので、淡々とそれほど大きな盛り上がりもなく進むストーリーには、少し物足りなさを感じたのも事実であるが、登場人物たちの人間味のある温かさからか、不思議な魅力を感じる作品だった。2017/01/31
F
4
まず作者の独特なリズムについていくのに一苦労、第一回松本清張賞を受賞している作家だが、その際井上ひさしが「やや生硬」と評したがあまり変わっていないようだ。設定がかぶるのでどうしても同じくマタギもの「邂逅の森」が浮かぶが、比べると重厚感、緊張感、それにストーリーの盛り上がりにも欠ける。新知識も無い。ただ、どこかユーモラスな登場人物たちが、その人生を謳歌せんと奔走する様には自然と口元が緩む。2010/02/02
プロサルファーゴルフ
1
地元に近い所の話で少し感動。時代を感じる。2016/02/26