内容説明
奈良興福寺の阿修羅像。その少年のような姿かたちの仏像に面影を刻まれた男がいた。藤原氏の一族に生まれながら、光明皇后、藤原仲麻呂らの専制を憎み、打倒藤原氏に起ち上がった橘奈良麻呂。みずからの出生の秘密に苦悩し、謀叛を企てた罪で非命の最期をとげた奈良麻呂の生涯を描く壮大な古代ロマン。1300年の時空を超えて、阿修羅の物語がいま甦える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鍵ちゃん
14
今日本で一番愛されている仏像。奈良興福寺の阿修羅像。折れそうに華奢な肢体に、憂いを含んだ口元、遠くを見つめる眼差し…その少年のような姿かたちの仏像に面影を刻まれた男がいた。藤原氏の一族に生まれながら、光明皇后、藤原仲麻呂らの専制を憎み、打倒藤原氏に起き上がった橘奈良麻呂。自らの出生の秘密に苦悩し、謀反を企てた罪で非命の最期をとげた奈良麻呂の生涯を描く壮大な古代ロマン。1300年の時空を超えて、阿修羅の物語がいま蘇る。大河を見たような壮大な話でした。政を行う人は冷淡で腹黒くなければ行けないのか。2021/03/14
イレイジ
4
表紙に魅了され・・。2017/01/11
若黎
3
読みやすいけど、なーんか薄い感じ。2023/10/15
真理そら
2
「白蓮の阿修羅」(篠綾子)も阿修羅のモデルから話が始まっているが、この作品と物語の中心はかなり違う。阿修羅像は人間的な表情がある美しい仏像なのでついモデルをイメージしたくなるのかもしれない。作品の中心は橘奈良麻呂だが、この人物も謎が多い。本作は同母兄妹の子のようでありながら実は…という設定だった。光明子の描き方が持統天皇なみなのがおもしろい。奈良麻呂が実は生きていたという想定の「檀林皇后私譜」(杉本苑子)を思い出して再読中。2017/06/11
ゆーいちろー
2
最近、小説によって日本史を学び直しているようなところがあって、この本に出会えたのは幸いでした。不勉強なのでこの時代を描いた面白い小説というものをあまり読んだことがありません。私の読書経験に照らすならあまりに空想的な「宇宙皇子」とか、あるいは「国銅」があったかなというぐらいです。この本によって、この時代の主だった人に自分なりのイメージを重ねることができました。これが、物語を読む醍醐味であると改めて認識した次第であります。おもしろかったー。2010/02/14