慟哭 小説・林郁夫裁判

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慟哭 小説・林郁夫裁判

  • 著者名:佐木隆三【著】
  • 価格 ¥733(本体¥667)
  • 講談社(2014/02発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062760430

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内容説明

「私がサリンをまきました」オウム真理教の大幹部「治療省大臣」にして地下鉄サリン事件の実行犯・林郁夫。その告白と慟哭の法廷から、未曾有の無差別殺人事件の全体像が浮かび上がった。文庫化にあたり、書下ろし「その後のオウム裁判」も収録した、オウムの真相を暴く渾身のノンフィクション・ノベル。(講談社文庫)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nyaoko

80
慟哭。まさに、この本のタイトルはその言葉でしか表せない。地下鉄サリン事件において、死刑にならなかったただ1人のオウム真理教元信者・林郁夫。彼は家系も、仕事も家庭も、何一つ申し分のない人生だった。優秀な心臓外科医で、敬虔な阿含宗信徒だった。そんな彼の運命を大きく変えたオウム真理教。あんな無茶苦茶で、真理どころか、嘘だらけのオウムに心酔していった経緯は今も理解出来ない。実行犯達が処刑され、あと少しで平成が終わる。この事件を忘れない為にも他のオウム関連の作品を読み続けたい。2019/03/07

ケイ

53
林郁夫に対する判決が、無期懲役になったのは何故かと思うところがあり手に取った。取調官に取調開始一ヶ月後に自らサリンを撒いたと語り出した、法廷で麻原と対決、欲のない弁護人を選んだ、そして何より林郁夫のせいで亡くなった被害者の遺族が死刑を望まなかったことのようだ。作者なりの見方もあるだろうが。サリンが撒かれた日の前日に、警視庁で大々的に有毒ガステロに対する訓練が行われていたのは偶然ではないだろうが、ここではそれに触れられておらず、林郁夫関連を中心にまとめられている。2014/03/20

モルク

44
オウム真理教治療省大臣であり、地下鉄サリン事件の実行犯である林郁夫。育ちもよく、高学歴で地位も名誉もある彼が何故に家族を連れて出家し、犯罪に手を染めなければならなかったのか…真実に迫る。尊氏として絶大に信頼し寄与していた麻原彰晃の姿に絶望し、オウム真理教にも疑問を持ちかたくなだった気持ちから変化していく様子がよくわかる。被害者に対する強い懺悔の気持ちもよくあらわれている彼の真摯な態度が好感をもてた。しかし20年以上経った今でもまだ麻原は口を開かない。麻原には憤りしか感じない。2017/08/28

thee birdmen

42
地下鉄サリン事件に関わった者の中で唯一死刑にならなかった男、林郁夫。人を救うために医師になり、亡くなった人の魂を救うために宗教にのめり込んだ彼の公判記録からは、深い失望と後悔、反省の気持ちが滲んでいました。証言台で語る言葉には心を打つものがあります。最終的に麻原を『自己愛という殻に閉じこもったちっぽけな男』と評することが出来た人であっても見抜けなかった精神世界。オウムという狂気生まれたあの時代は一体なんだったのか…カルトに堕ちる闇は深いですね。人間社会に地に足つけて生きていたいと心から思いました。2019/11/23

Maiラピ

29
青山元弁護士の「事件を風化させて延命をはかる」というメモの言葉が印象的。衝撃的な事件であったが17年以上の年月を経て昔の出来事に。なぜ高学歴の人々が麻原に帰依しようとしたかがわかってくる。林先生、もったいないな。人は自分で決断するのを厭い、絶対的なものに指示されたいという思いがあるため、麻原という怪物を作り上げたのかもしれない。ヒットラーに象徴的なように。2012/05/06

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