内容説明
精緻にしてキュート、清冽で伸びやか。野間文芸新人賞作家が放つ恋愛長編!
実家で飼っていた愛犬・ブックが死にそうだ、という連絡を受けた僕は、彼女から「バイクで帰ってあげなよ」といわれる。4年近く乗っていなかったバイク。彼女と一緒にキャブレターを分解し、そこで、僕は彼女に「結婚しよう」と告げた。彼女は、1年間(結婚の)練習をしよう、といってくれた。愛犬も一命を取り留めた。愛犬の回復→バイク修理→プロポーズ。幸せの連続線はこのままどこまでも続くんだ、と思っていた――)
1969年岐阜県生まれ。
2002年、「リレキショ」で「文藝賞」を受賞しデビュー。
「夏休み」が芥川賞候補に。
「ぐるぐるまわるすべり台」で 「野間文芸新人賞」を受賞。
ほかに「絶対、最強の恋のうた」「あなたがここにいて欲しい」など。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
馨
479
泣ける恋愛小説ばかり読みふけっていた頃に読了。中村さんの作品を読むきっかけとなった作品です。彼女が病気になるのが唐突すぎる感じもあり、彼女が出来過ぎた感じもありましたが良かったと思います。主人公が大切なものに気づいて成長しくれて良かったです。
ちょこまーぶる
373
正直、短編を2冊読んだと感じてしまった。ブックと彼女との出会いから死別まで・・・。著者は重ね合わせて何かを伝えたかったのかもしれないが、そこまでは読み込めなかった思いがする。だけど、主人公が死別後に立ち直っていく姿には、何だか応援したくなってしまった。2012/05/20
にいにい
358
初中村航さん。涙を誘うぞというタイトルで、なかなか手をつけられなかった作品。よく小説に描かれるストーリーだけど、他の多くと大きく違うのは、彼女と彼氏が素敵なことだな。二人のやりとりが魅力的すぎる。何でも亡くなる、別れがくる。でも、彼女のは呆気なさすぎ。最後に「生きたい」って言うのが切ない。彼女を亡くした後の彼氏の思考も考えさせられる。絶対に開かない箱、ブックの位置づけも絶妙。理系思考の淡々とした進行が目新しい。また、読んでみよう。2014/05/12
ウッディ
303
絶対泣ける小説、自分にとって鉄板の一冊は、予想通りの号泣でした。「ストレス解消に泣くのが良い」とテレビでやっていたので、久々に手に取りました。求婚の翌朝、小麦色のトーストを食べ、並んで歯を磨きながら感じる「これが頂点でもいい」と思わせるほどの幸せ、そしてリュックを背負ってやってきた彼女の「ふつつかものですが、どうぞよろしく」の言葉、熱をだして寝込む彼女の願いで、解熱の舞を舞う僕、そんな微笑ましい出来事の一つ一つがかけがえのない思い出に変わっていくラスト、愛犬ブックとの別れも含めて、素晴らしい小説でした。2020/05/17
むらKみ
284
「いつか訪れる終わるを前提に生や愛が生まれる」それが道理。この挿話が第一章の終わりに差し込まれています。この挿話を踏まえて読むんだなと読了後気づきました。(^^; 良くある切ないストーリーですが、その言葉がこの小説のスパイスですよね。若い女性の死の描写を読むのは、とても辛く切ないものです。きっと立ち直れるよ、彼女からのメッセージを心に刻んでるから。100回泣くほど感情移入はできなかったですね。(^^; (2013/4/3)2013/04/03