内容説明
50年を経て甦る、映画を超える本物の感動
どうにもならない事情から、無人の昭和基地に置き去りにされた15頭のカラフト犬たち。その一年後、「タロとジロが生きていた!」という奇跡的なニュースに日本中が沸き返った。あれから50年。南極第一次越冬隊に「犬係」として、さらに一年後の第三次越冬隊にも参加し、タロジロとの再会を果たした唯一の人物である著者による、真実の感動ストーリー。映画『南極物語』にも描かれていない、探検と観測の一年。そして犬たちとの日々――。
目次
第1章 旅立ち?いざ、南極へ
第2章 越冬開始
第3章 犬と隊員たち
第4章 厳寒期のカエル島へ
第5章 ボツンヌーテン犬ゾリ行
第6章 オラフ海岸の夏の旅
第7章 宗谷の苦闘、犬たちの悲劇
終章
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
58
映画やドラマにもなったあの有名な南極での話を、実際に参加された北村さんが書かれたものです。タロとジロは剥製にもなるほどの英雄となった犬ですが、その真実の物語はどんなものだったのかが淡々と語られています。「探検家は、非情なことでも、それがわかっていても、心を殺して・・・」と隊長が言うシーンでは、涙が溢れてしまいました。そして最後の文章が「私の魂はつぶれた・・・。」で締めくくられていることで、放心状態になりました。作り話ではなくそれがリアルな現実なんですね。2011/07/19
アッキ@道央民
45
映画の南極物語でタロジロの話しを知っていたつもりで、書店でこの本を見かけて手に取り読んでみました。実際に第一次南極越冬隊の犬係として参加されていて、タロジロとの再会を果たした方なんですね。この本自体は感動の物語と言うよりは当時の南極越冬中のいわば冒険記のような感じ。極寒の地でのボツンヌ-テンへの探検など過酷だったのがよく判る。第二次越冬隊が断念。15頭のカラフト犬が置き去りにされる場面は勿論南極と言う地に対する知識や情報不足などもツメの甘さもあったんだろうな。著者の北村さんが第三次越冬隊に参加。再び昭和2020/02/13
にせものばかり
24
タロジロらを置いて帰国しなかればならなかった事情や、著者の辛さがよくわかりました。個人的には木村拓哉氏のドラマよりも、高倉健さんや荻野目慶子さんの映画のほうがよかったです。2014/04/07
まいぽん
23
南極観測隊第一次及び第三次越冬隊の一員にして犬係であった著者による本書は、読友さんの「極夜行」つぶから知った1冊。自己の内省的考察の多い「極夜行」に比べると記録としての色合いが濃く素朴で、微笑ましい部分も多い。とはいえ極地の自然の過酷さは充分すぎる迫力。写真からわかる服装等の装備を現在と比較しつつ、完全に凍った靴に足を入れる感覚を想像する。カラフト犬を御するのは『力』であると教えられた著者が次第に犬たちの力を引き出すのは『心』であると悟り深く心を通わせていく。結末にまつわる映画とは違う現実が興味深かった。2021/03/15
yupi
11
タイトルにある「タロジロの真実」というより日本初の南極越冬隊の話。ドラマを見てから予約した本なので、読みながら映像が浮かんで、よりリアルに極地の厳しさ美しさに引き込まれた。終章最後のページに書かれた著者の思いは、痛い程伝わった。2012/11/18