内容説明
生まれながらの夢想家にして、怪異の耽美家、叙情溢れる感傷家にして、詩人。根強く圧倒的な人気を誇るブラッドベリの魅力を余すところなく紹介する傑作集。珠玉の二十二篇収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
91
ブラッドベリにしてはなんか少し印象が弱い感じの作品集に思えました。短編集で22の作品が収められています。「10月はたそがれの国」や「太陽の黄金の林檎」などの作品集に比べるといまいちのような気がします。どちらかというとよりメルヘンチックな感じがしています。ただ読んでいて感情の起伏を感じないので自分の心を落ち着かせたいときに読むといいのかもしれません。2015/08/27
藤月はな(灯れ松明の火)
30
SFでノスタルジック且つ怖くて優しいブラッドベリの短編集。「時を翔ける少女」かある不吉な予感を連想させる「サルサの匂い」、深層意識と輪廻による不気味さがある「誰も降りなかった駅」、「華氏451度」のテーマをさらに削ぎ落とした「小ねずみ夫婦」、それを皮肉的に扱った「旅立つ日」、永遠に繰り返す火星による人々の入れ替えを描く「金色の目」がお気に入りです。2012/10/17
spica015
11
既読の作品も多かったけれど、やっぱりブラッドベリは素敵だなと思う。ホラーテイストの作品は少なめで、全体的にセンチメンタルで詩的な雰囲気に包まれている。ブラッドベリにSFやリアルさを求めているわけではなく、ただこういった雰囲気に浸りたいという気持ちを満たしてくれるから好き。「すばらしき白服」はバタバタしているけれどなんだか微笑ましい作品。「誰も降りなかった町」のラストは峻烈で痺れるような余韻。「金色の目」もいいけど、「いちご色の窓」のロマンチックさが堪らない。2018/01/05
hydrangea
11
こちらは大分以前から積んでしまっていましたw改めて読むと、結構作風の違いを感じるタイトルが多いように感じました。この辺は好き嫌いが多少分かれるかもしれませんね。全体でも300頁くらいで、かなり短めのストーリーがコンパクトに纏まっていますので、日常のふとした時間に読み進めるのも良いかもしません。2014/09/07
酔花
10
SFからファンタジー、コメディまで幅広い作風で読み手をノスタルジックな風景に引き込むブラッドベリの短編集。収められた全ての作品が面白いとは言えなかったが、流石にブラッドベリだけあって総じてレベルは高い。思い出の夏が宿った屋根裏と夏に恋い焦がれた男の物語である『サルサのにおい』、人類が初めて重力からの脱出に成功した瞬間の老人の心の機微を鮮やかに描く傑作短編『初めの終わり』、火星に移植した家族の地球への帰郷の念と人類の繁栄にかける想いを描いた『贈りもの』などが面白かった。2013/09/09