内容説明
紀元九年、安漢公・王莽が前漢を乗っ取り新帝国を建てる。だが儒教原理主義的な政策は民衆の反発を呼び、「赤眉の乱」が発生。漢帝室の血を引く豪族・南陽劉氏の御曹司劉秀も武張った兄劉演たちとともに否応無く反乱に巻き込まれてゆく。後漢帝国の創始者、光武帝劉秀の活躍を描く、新感覚の中国歴史巨編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
再び読書
23
序も序残念ながら、全く盛り上がらなかった上巻。「王莽」があるので余計かもしれませんが、新の漢簒奪の下りにほとんど触れられていない。新からの漢復活の盛り上がりが薄い。その背景が無いと後漢に続く流れが理解出来ない。このあたりが塚本氏の歴史作家としての弱さかも知れない。引き続き中、下と進みます。個人的には人食い蟹が、おぞましい。2014/12/12
鐵太郎
15
王莽が漢(前漢)から皇位を簒奪し「新」帝国を築いてより4年後から始まる物語。新帝国が倒れたあと劉氏の総領となって後漢を建設する劉秀(光武帝)は、学識がありそれ故に兄たちから疎まれるのほほんとした三男坊として登場し、この巻が描くAD12年から20年まででは、昏迷の度を深めていく中国の国土を見つめているだけ。劉秀の話と並行して描かれる「呂母の乱」の経緯については、どこまで史実でどこからフィクションなのかわからないが、一人の女性の子を思う復讐譚が「赤眉の乱」の引き金になったという流れが面白い。次巻に期待。2021/11/16
星落秋風五丈原
6
ある辞典では王莽をこう語る。 前漢末の政治家。皇帝を毒殺して新を建国。周礼の制に基づく改革政治を断行して豪族・民衆の反発を買い劉秀に滅ぼされた。 この一連の記録によれば彼はこの物語の主人公、劉秀(後の光武帝)が現れるまでのつなぎとして最初から滅びる、いや、滅ぼされるために歴史に登場したような感すらある。しかし建国を志す時、初めから「国をめちゃめちゃにしてやろう」と思う、そんな矛盾に満ちた人はいない。 王莽だって、最初は、皇帝一族の放埒ぶりを目の当たりにして、「これではいけない」と改革に燃えていた。 2005/12/12
うたまる
5
この時代以前の春秋戦国とこの時代以後の三国志はよく読んだが、後漢勃興期は初めてで楽しみ。が、読み進めるとあちこちに現代的表現を使っているので違和感あり。その最たるものが”反乱軍と正規軍”を”暴走族と機動隊”に喩えること。さすがに世界観がぶち壊しになるので勘弁。また王莽の失政(度重なる地名変更と通貨改鋳)も何回書くんだというくらいくどい。もう分かったちゅーの。良かったのは赤眉の乱の由来薀蓄……「赤か。漢の色だな。琅邪郡の朱虚県では、辰砂(朱の原料)が取れるから、それを使っているのだろう」2012/05/30
future4227
3
呂母の乱が詳細に描かれていて面白い。もう少しシンプルなストーリーでもいいと思うのだか、いろんな策謀が交錯しすぎて、だんだん訳が分からなくなってくる。上巻では劉秀の活躍がほとんどないが、これからどうのし上がっていくのか、中巻に期待。2013/12/11