内容説明
「海に国境はない」この言葉に動かされた加賀の豪商・銭屋五兵衛は、北方交易に情熱を注ぎ、金沢藩財政に大きく寄与した。五兵衛はその後干拓事業に絡み失脚、牢死するが、その遺志を継いだ大野弁吉がさらに事業を拡大する。幕末の激動期、国家に先んじて「国際化」の道を歩んだ男たちの冒険を感動的に描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スー
20
67鎖国され商人が不当に低い階級にされていた幕末、経済は経世済民の略と信じ人の垣根を取っ払い海を自由に航行し外国と交易したい願う銭屋五兵衛と仲間達の幕末史。銭屋五兵衛の遺志が土井利忠、川路聖謨、勝海舟、坂本龍馬に受け継がれ大人と若者、武士と商人が一緒になって新しい事をやろう!古い仕組みをぶっ潰そう!という熱量に読んでる此方までワクワクして熱くなってきました。童門さんの本で「上杉鷹山」「立花宗茂」に次いで好きな本です。2019/04/30
hiyu
6
鯉の話など、どこかで見たことがあり、妙ななつかしさがあった。志ある者が導かれるように集い、紐帯のようにまとまっていく。がっちりとまとまった強い紐帯もあれば、いわば「弱い紐帯の強み」を出している部分も感じられる。面白さもそうだが、二重三重の味わいがあり、著者の入念な下調べに感服するほかない。また、坂本龍馬を通じ、著者の思いを強く感じさせるものでもあった。2018/01/14