内容説明
出雲修平は2年前に大手商社を定年退職し、現在は年金生活者。ひょんなことから「運転免許を取ろう」と決意し同期で中途退職し、今は事業家として成功している友人に紹介された自動車学校に入学した。そこの女性教官に、修平がかつて好きだった元部下の美里がいた。定年後の人たちの夢と挑戦を描く傑作。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Totchang
16
私はマニュアルミッション車からトルコン(torque converter)車に移ったときに左足ブレーキに変え、今に至っている。本作品は人材を設備のように「残存簿価」とか「償却済み資産」とか「除却処分」などとあとがきで煽っているが、まぁ、大概のところでうまい表現だと感心した。何につけ興味を持って物事に取り組むことが老後の重要なミッションだと思う。とある老健施設でサッカーチームの「推し」活動をした結果、殆どの方に笑顔が戻り、会話も弾むようになったとの報道を見た。「好奇心」は死ぬまで大切なものなのだ。2023/01/09
Yunemo
5
なんだか大企業の部長職という経験が、細部にまで表現されちょっと鼻につくかな、なんてことを想いながら。サラリーマン生活が身に染みると、いろんなところで考え方、仕草に、澱のように溜まっていくんですね。でもやっぱり善人の証なんでしょう。償却済資産としての計上のされ方、若い時に、そして最後までへばりついても、いろいろありますね。でも10%の残存簿価で立派に生き抜ける。いろいろな経済情勢の中で、人間も減価償却の対象となった、まさに現実に起こっていたこと。2003年の作品でありながら、現実感あり。哀愁ある恋心に憧れ!2015/04/04
正位置
2
企業を定年退職した男が、いままで機会を逸して持っていなかった運転免許を取ろうと奮起する物語。主人公がかなり年配の男性という小説は馴染みがなかったが、特に違和感なく読めた。どんな年齢になっても、なにかに挑戦しようとする気持ちは大切だと感じさせれれる。一方、エロこそ男の原動力だと思えるような高年の哀愁はなんだか情けなく思えた。2011/01/31
U-kari.
1
定年後に免許を取るなんて勇気ありますね。時間とお金があるからこそ出来ることかな。イマイチ盛り上がりにかけ淡々としていたので、サラッと読み終わりました。2014/12/18
亀之助
1
定年で退職するが、周りから車の免許を取れと言われ教習所に。そこに元同僚に会い、会社人間だった自分が様々な生き方を学ぶ。人生は不完全燃焼、残りは棺桶の中で燃やす。たしかにそうですね。2012/03/16