内容説明
昭和20年、日本が滅亡に瀕していた夏。崩壊したナチスドイツからもたらされた戦利潜水艦・伊507が、男たちの、国家の運命をねじ曲げてゆく。五島列島沖に沈む特殊兵器・ローレライとはなにか。終戦という歴史の分岐点を駆け抜けた魂の記録が、この国の現在を問い直す。第24回吉川英治文学新人賞受賞。【2005年3月公開 映画「ローレライ」原作】 (講談社文庫)
感想・レビュー
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yoshida
133
大東亜戦争末期。ドイツから日本へ逃れた特殊潜水艦UF4。別名シーゴースト。UF4は米軍の潜水艦により、肝要となる兵器「ローレライ」を五島列島近海に残さざるを得なかった。極秘裏に修理され集められた乗員達。ただ一人残ったドイツ軍士官フリッツを加え、新たに伊507となったUF4はローレライ回収の為、五島列島へ。潜水艦モノに外れは少ない。本作はフィクションだから読まずにいたが漸く手に取る。一巻は導入部。これから本格的に物語が進行する。タイトルに「終戦」がつくので講和を少しでも有利にしようとする内容か。次巻に期待。2020/07/12
まつうら
54
敗色濃厚となった太平洋戦争末期、ローレライという特殊兵器を手に入れたに日本海軍が、米軍に一矢報いることで終戦交渉を有利にすすめようとする。一矢報いるとは具体的に何を? そもそも、圧倒的な物量差のある米軍を相手に、一矢程度で交渉が有利になるのか? そもそもローレライってどんな兵器? 謎だらけで幕を開けた第一巻だが、随所に散りばめられた著者の強い戦争批判に目がひかれる。補給線を軽んじ、精神論で戦争に勝てると思っている大本営。この期に及んで条件付き降伏を要求する外交センスのなさ。行間に著者の憤りがにじむ。2023/03/03
背古巣
50
この作品は誰が主人公?Ⅰを読み終えた段階では、この人かな?と思う人物はいますが、わかりません。冒頭から"ムンズ"と捕まえられて、ほぼ一気読みでした。戦争物はあまり得意ではないのですが、これは面白いです。これからどういう展開になるのか、とても気になります。とにかく事前知識が全くないので、余計に興味が湧きます。2016/09/09
goro@80.7
47
久々の福井晴敏。未読のままようやく読み始めました。2023/10/13
Richard Thornburg
45
感想:★★★ 太平洋戦争末期ということもあって陰鬱な雰囲気の中でストーリーは進行していきます。 まずは登場人物紹介の巻って感じでモノクロ的なイメージなんですが、後半の戦闘シーンあたりから急に色付きのリアルなシーンになっていきます。 のっけから登場している「ローレライ」について何たるものかの説明はまだないのでよくわからない部分も多いのですが、文中の表現から何気に無機体ではなく有機的な何か・・・って印象を受けました。 2023/04/15