内容説明
天保十一年、時の将軍は徳川家慶。しかし実権は、大御所・家斉が握っていた。絢爛たる吹き上げの桜見の会で、盛装した奥女中らが注視する中、事件は起こった──。家斉が寵愛する中臈・お美代の方とその養父にして背後の黒幕・石翁。栄華をきわめる彼らと、その追い落としを謀る水野忠邦一派。両者の罠のかけあいをミステリ・タッチで描き、権力に群がる矮小な人間の姿を炙りだす。権謀術数の大奥を生きる美女達に、快男児あり、色模様あり、黒幕ありの傑作時代小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はなん
31
松本清張が時代小説まで書いていたとは知りませんでした。初のドラマ化の話題から手にした一冊。予想以上に面白く、そして時代物の入門編にもなりそうな読みやすい話運びでした。さすが、ですね。考えてみたらこの時代をこんな視点から活字で読むのは初めてです。(ドラマは有名どころがありますが)結論はわかっているけれど、そこに行くまでのそれぞれの人間模様。下巻ではどんな描かれ方をしていくのか楽しみです。(意外と奥の様子は書かれてないな。ドラマはかなりアレンジされていそうですね)2016/03/13
ロデタ
6
面白い。積読で寝かせておかないでもっと早く読めばよかった。下巻へつづく。2019/10/09
しんた
6
著者のファンなので苦手なこの時代作品も読んでみた。むむむ…2015/05/04
go
5
これは糞面白い。松本清張は時代小説の方が上手い様な気さえする。下巻で失速しなければいいな2015/01/12
Hitoshi.F
3
松本清張が時代小説を書くとは驚き。しかし物語は時代こそ違えサスペンス。平和ボケした徳川中期、家斉大御所時代の物語。呆れるほど欲に駆られ武家、加えて大奥が企てる呆れた計画、登場人物も内容も大筋実話であるということのようだ、まさに平和ボケ。しかし小説としては面白い。オススメの一品、下巻が楽しみだ。2017/07/22