内容説明
美貌と歌才に恵まれ権門の夫をもちながら、蜻蛉のようにはかない身の上を嘆く作者の21年間の日記。鋭く人生を見つめ、夫の愛情に絶望していく心情を描く。現代語訳を前面に出し、文法知識不要で古典を楽しめる。
※本作品は紙版の書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
目次
上巻(はかない身の上;兼家の求婚;婚前の文通 ほか)
中巻(三十日三十夜はわがもとに;安和の変―左大臣源高明流罪;弓を競う―道綱の活躍 ほか)
下巻(兼家大納言に昇進;固き妻戸;春雨煙る朝 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
47
勉強用に読む。男の身勝手、女の身勝手、子の嘆き。あまりいつの世も変わらない。2016/02/29
ホシ
21
昨年末、親戚の結婚式があって、とんぼ返りで一時帰国しました。家族一家で式に参加したのですが、家を出る際、還暦をとうに過ぎた母が両手にネックレスを持って「どっちが良いと思う?」と私に聞いてきました。私は「こっちが良いんじゃない?でも、母さんのことなんて誰も見てないよ」と言ったら、母は大笑いして「本当だね」だと。しかし、この話を聞いた叔母から「女はいくつになっても見られたいものなのだ」と軽くたしなめられました。兼家に負けず劣らず女心の機微を汲めない、私みたいなブ男は『蜻蛉日記』を読むべきです。2019/01/05
coco夏ko10角
21
20年以上にわたる道綱母による日記。いくら気に入らないとはいえあの状況で「今ぞ胸はあきたる。」と言ってしまうのが…女性の嫉妬ってすごい。もっとうまく甘えればお互い心地よく過ごせるんだろうけど、道綱母みたいな人にとってはそれも難しい。でも兼家が結構色んな女性とくっついてもそんなに長続きしないのを見ると、この二人はなんだかんだこれはこれでうまくいってたんだろうなぁ。間を取り持ったり八つ当たりされたり、道綱がちょいちょい気の毒…。2014/09/22
しんすけ
19
平安時代の貴族の慣習が悲劇となった作品と云って良い。 この日記を書いた女は、裕福な家庭に生まれ、美人で、詠(うた)も優れて上手(うま)かった。そして多くの人に愛された。 これだけ書くと幸せな生涯を送った様に観えるのだが、日記からはまったく幸福(しあわせ)感が伝わってこない。 かく年月はつもれど思ふやうにもあらぬ身をし嘆けば、声あらたまるもよろこぼしからず、なほものはかなきを思へば、あるかなきかの心地するかげろふの日記といふべし。 上巻の最後にあるもの。青春への告別のようにさえ観えてくる。2022/06/15
かふ
15
百人一首を最初に紐解いていたときに、藤原道綱母と出てきてなんだ、この名前はと思ったら、名前は知られず息子が官位があるからそう呼ばれていると知った。紫式部も清少納言もそうなのだがまだ役名で呼べれるだけいいかもと思った。母親も役名に違いないけど......。以下、https://note.com/aoyadokari/n/n2ae193d848872022/02/02