内容説明
日本の人びとと風物を印象的に描いたハーンの代表作『知られぬ日本の面影』を新編集。「神々の国の首都」「日本人の微笑」ほか、アニミスティックな文学世界や世界観、日本への想いを伝える一一編を新訳収録。
目次
東洋の第一日目
盆踊り
神々の国の首都
杵築―日本最古の神社
子供たちの死霊の岩屋で―加賀の潜戸
日本海に沿って
日本の庭にて
英語教師の日記から
日本人の微笑
さようなら
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真香@ゆるゆるペース
110
実家本。ラフカディオ・ハーン(のちに帰化して小泉八雲と改名)が来日した時に見て感じた、古き良き時代の情景。日本の文化・風習・人々へ対する過剰にも思える賛辞から、彼の日本愛や子供のような好奇心が伝わってきて、とても微笑ましい。同じ日本人でも、我々現代人達が置き去りにして忘れてしまった大切なものを思い起こさせてくれる貴重な本。もし彼が今の時代の日本に来ていたとしたら、きっと真逆の評価になったに違いない…2020/01/22
KAZOO
108
小泉八雲の日本の印象を描いた作品集です。明治時代の日本の地方の面影をきめ細かく書かれています。すごく美化されているような気もするのですが、地方ということもあるのでしょうが日本人も今のようにせかせかしたこともなくゆったりとしていたのでしょうね。とくに出雲大社や自分の庭などを書かれているのを読むとうらやましい気がします。また地方の様々な様子を描いているところは民俗学者の宮本さんの文章を思い出しました。2022/10/28
Shoji
72
日本人の心根の美しさを惜しげもなく褒め称えています。和の精神が美しい日本語で綴られています。時に、こういった本を読んで、美しきかな日本としみじみと感じ入るのもいいものだと思います。2017/07/09
NAO
67
出雲の落日に染まる風景を描いたハーンの文章は、絵のように美しい。ハーンがこの美しい日本の原風景ともいえるような風景の中で暮らすことができたとは、彼にとって何よりも幸福なことだったに違いない。(松江の冬の寒さは、嫌いだったらしいけれども。)日本人の素朴な宗教心も、ギリシヤ神話に親しむギリシヤ人の母を持つハーンには身近なものに感じられたのだろう。ハーンが、他の外国人とは違った目で、日本の風景を、日本人の立ち居振る舞いを見ているのが、この『日本の面影』を読むと本当によく分かる。2017/07/04
こばまり
62
図書館に全集購入をリクエストし、願いが聞き届けられた頃に卒業となってしまったのだった。だから甲府西高の皆さん、あなたたちが今小泉八雲全集を手に取れるのは、私のお陰なのですぞ。2019/06/03