内容説明
著者が四〇年にわたって鑑賞してきた古今の名句から約七〇〇句を厳選し、歳時記の季語の配列順に並べなおした。深い教養に裏付けられた平明で魅力的な鑑賞と批評は、初心者にも俳句の魅力を存分に解き明かす。
目次
春(春 二月 ほか)
夏(夏 初夏 ほか)
秋(秋 初秋 ほか)
冬(冬 立冬 ほか)
新年(初春 去年今年 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
81
著者はいろいろな俳人と交流があったらしく俳人の人柄や生活を伝える文章が味わい深い。客観的な鑑賞文とは一味も二味も異なっている。鋭い感覚で動物や植物、時候などの繊細な美を表現した俳句が多く選ばれており、再読三読に耐えうる内容だと思う。俳句はわずか17音のせせこましい芸術で、ヨーロッパのソネットと比較するとスケールの点で見劣りするのは否定できない。それでもわずか17音に心血を注ぐのが日本人の美学なのだろう。言い換えれば細部に手を抜かない仕事をするのが日本人ということ。そんな日本人で良かったと思わせてくれる本。2013/11/30
佐々木 駿
1
此秋も吾亦紅よと見て過ぎぬ、という句がいいなあ、好きだなあと思い、どこが好きなのかというと、吾亦紅よと、の中七が好きだ。吾亦紅よと、の、よ、は現代の、だよ、の意味だと思うけれど、だ、が無い分、だよ、より断定が強くない感じで、吾亦紅を淡泊に見ている感じがベリーグッドな感じって感じ。あと、緑陰や矢を獲ては鳴る白き的、という句がかっこいいと思いました。2016/08/30
たつのすけ
0
◎2022/02/04
糸くず
0
昭和を代表する文芸評論家による俳句批評の宝石箱。切れ味鋭い文章が並んでいて、飽きがこない。気が向いた時にパラパラと読むと、とても心地よい。夏の俳句から気に入ったものをひとつ。「炎熱や勝利の如き地の明るさ」(中村草田男)。2018/06/24