内容説明
真杉光子は姉の小学校の同窓生、宮田と出かけた光太郎・智恵子展で、木彫の〈蝉〉を見つめていた男が福島で殺されたことを知る。そして宮田も島根で変死。奔走する浅見光彦が見つけた真相とは!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
下町ロコモーティブ
12
*「いやなんです あなたのいってしまふのが」で始まる高村光太郎の詩など知らなかった。恋人の智恵子に既に婚約者がいる事を知った時の動揺を直截的に唄った詩とのこと。印籠や煙草入れを腰に下げる時ストラップの端に取付けストラップが外れないようにした物を「根付」という事など知らなかった。2件の殺人事件はいつもの様に名探偵浅見光彦の描いたシナリオ通り解決されるが、読了後、高村光太郎・智恵子の事をもっと知りたくなる良書であった。ちなみに、光太郎・智恵子が眠る東京染井の墓地には浅見光彦実家のお墓もあるようだ。2016/08/14
あなご
7
今回は私の知っている地名がたくさん出てきて楽しめました。 主な舞台は千葉、島根、福島。2012/06/27
Kiyoshi Utsugi
5
小学校で浅見光彦と同級生だった野沢光子と高村光太郎の信奉者である宮田治夫が高村光太郎・智恵子展でデートをし、そこで高村光太郎の作品である「蝉」を見つめている男を見かけます。 ところが、その「蝉の男」が福島県で岳温泉で死体となって発見されます。 次いで福島県からは遠く離れた島根県江津市で、宮田治男の死体が発見されます。 野沢光子と同級生であったこともあり、この事件に関わることになった浅見光彦が、いつものように謎解きをして、事件を解決に導くというものです。 面白かったので、いつものように一気読みとなりました。2019/06/23
ポインター
5
浅見光彦、今回は福島と島根です。しかし、今回の光彦はいつも以上に兄貴の権力や過去の実績を活かしてしまって残念。内容的にも最後が難しく感じてしまった。でも事件解決への持っていきかたは面白かったです。 280ページ程度の本なのに、忙しすぎて2週間以上かかってしまった。そのために自分自身でクライマックスに持っていくのに失敗してしまったのが残念。2012/12/13
ニゴディー
4
作品単体として見ると凡作。 浅見光彦シリーズが好きであればそれなりに楽しめるかな。 展開自体はそこまで入り組んでるわけではないけど、あまり人物に焦点が当たってなかったので人名なんかがちょっとゴチャゴチャしてた印象。 あとは鎌を掛けるというより嘘をついて陥れるといえるような行動を取る光彦の性格の悪さというか。 シリーズの他作品でもそうだけどこういう部分がたまに見えるのがあまり好きではないかな。 2020/12/20