内容説明
地上の人口は増えているが、獏の数は減っていて、獏の食べ残す夢の量はどんどん増えていっている。闇の少し残る明け方の路地裏やどう見ても女の顔に見える天井板の木目の中に、あるいは赤ん坊が握りしめているこぶしの中に、獏の食べのこしは潜んでいる。微毒を含有する夢を噛みつづける、夢の依存症となった夢中毒者、中島らもの愛と世界をめぐるエッセイ集。
目次
ロックンロールの呪い
ほうき片手にビートルズ
フリフリ’68
嘆きのギター
「珍」を語る
しあわせのしわよせについて
体温のない街
なかったこと
デッドエンド・ストリート
寒波と楽園
サンタが坊やにキッスした
僕はいかにして楽天家になったか〔ほか〕