内容説明
新聞・雑誌などの記事や文章の切抜き、それらへの感想、ささやかな集積が、やがて永井龍男の美学と結びつき、精妙な確かなある空間と人生を静かに形成して行く。読売文学賞受賞の「わが切抜帖より」と、著者がかぎりなく愛する“昔の”東京にかかわる随筆群を併せて収録する、“昔の”東京の“背骨”と呼ぶべき1巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
わさぴ
1
新潮の青梅雨を読んで、講談の1冊目。私が生まれる遥か前の人だが、興味深いと思う話が多い。雑誌編集者だったこともあり、世界を人一倍よく見ていたんだろうなと思う。2018/08/12
龍國竣/リュウゴク
1
永井龍男氏の正確な文章をエッセイの形で存分に味わえた。教養とはこのような本から身につけるものだろう。「昔の東京」では繰返し大正の関東大震災に触れられていて、その影響力がいかにすさまじかったかを窺える。東京を過去から断裂させたものだという。2011/08/17
utataneneko
1
新聞や雑誌で目に留まった記事の切り抜きから語り起こした「わが切抜帖より」ほか、昔の東京についての思い出を描いた随筆集からは、昭和の世相や空気を感じ取ることができた。2010/07/11
アジシマ
0
「原稿の字の小さいのでは、芥川龍之介が有名だったが、それよりも久保田万太郎が小さく、直木三十五はさらに細かく、ほそい字を書いた。」とか、「直木さんには、行く先々で女を「拾ってくる」道楽があっ」た、とか、そんな話を愉しく読んだ。2016/10/26