内容説明
著者の故郷を舞台にそこに住む人々とその暮らしを描く。厳しい自然と対峙する強靱な生命力のしたたかさ。優しく哀しくユーモア滲む短篇の名手・三浦哲郎の瑞々しき豊饒の世界。「金色の朝」「がたくり馬車」「沈丁花」ほか〈故郷〉の匂い染み込む作品群16篇。新境地を拓いた著者ならではの短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みや
11
昭和40年代に発表された短篇16作。著者の故郷・八戸の雰囲気を色濃く反映した物語群。誤解や不要の拘りが不慮の死を招いたり、真意が他者に伝わらなかったりといった「すれ違い」を描くことで人生の機微に肉薄する。なるほど、意のままにならぬのが人の世、痛快事などそうそうない。その事実が眼前に提示され、人生の儚さに想いを馳せる。見事な構成と平易で無駄のない必要十分なコトバとにより紡がれる珠玉の作品集。抜群に面白い。2021/01/13
7kichi
6
どれもこれも粒ぞろいの作品で、読み終わるのが惜しまれる短篇集だ。他の作品も読んでいこう。2016/10/02
godot
2
三浦哲郎『野』読了。最後の「楕円形の故郷」もよかったが、いちばん心に残ったのは「沈丁花」だった。フォークナーの「バーベナの匂い」といい、本から花が香るような小説に弱いらしい。2013/04/07
isbm
0
★★★2017/08/08
なぐね。
0
三浦哲郎のキッカケになった本。