内容説明
一介の毬使いから近衛大将にまで成り上がった高キュウ。専権をほしいままにする彼が腐敗政治を生み、庶民の血と涙が反骨の英雄を生む。禁軍の師範だった林冲、王進、楊制使の楊志、下級官吏の魯達など、官に不満を抱く諸豪傑、今孔明の異名を持つ呉学人や宋江、武松らいずれ劣らぬ錚々たる面々は、烈々たる想いを胸に、梁山泊への道を歩んでくる。聚議庁に同志の数の灯がともる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
66
女難・酒乱・奸計・毒薬、ヒーローたちが弱さを見せながら、豪快に逆襲する爽快感。豪傑たちの出会いへのワクワク感。人の世の流転邂逅の奇に浩嘆を発する劇的感。アベンジャーズ感が溢れてます。2019/04/15
k5
63
『金瓶梅』の元ネタになったという武松、藩金蓮のエピソードがやはり面白いです。吉川英治先生、民話風のところは抜いてしまっているので、これは原作の方が魅力的ですが。しかし、宋江も武松も女難が原因でヤクザの道に踏み込むんですが、兄を毒殺した兄嫁を殺した武松さんに比べて、愛人に脅迫されて思わず殴り殺した宋江さんは、どう考えてもやり過ぎじゃない?2021/02/23
優希
56
血と涙の反骨の歴史が刻まれているようでした。腐敗した政治が生み出した英雄たちもいるのですね。様々な思いを抱え梁山泊へと歩む道に、同士ならではの炎が灯っていったと信じずにはいられません。2021/12/17
金吾
32
◎この巻は武松の暴れっぷりが圧巻です。相手が悪人であったとしてもやりすぎかもしれませんが、読んでいてスッとします。全体としては政治の腐敗とそれに対する怒りが感じ取れます。大好きな花栄の活躍も良かったです。2023/03/07
akira
27
新水滸伝第2弾。 とまらず読んでしまった。知っている人間とそのエピソードはほんとうに興味深い。 女にまつわるエピソードとして記憶に残る者。特に印象的だった宋江と武松のそれが語られる。宮本武蔵でもおもったが吉川先生の描く嫌な人間はほんとうにうまい。この気分悪さが筆力かと。 「またも君子宋江に女難のあること」2017/05/21