ハヤカワ・ミステリ文庫<br> 配当

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ハヤカワ・ミステリ文庫
配当

  • ISBN:9784150707200

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内容説明

〔競馬シリーズ〕物理教師ジョナサンは、ある日友人からひそかに三本のコンピュータのテープを渡された。数日後、その友人は事故死し、ジョナサンも命を狙われる……テープには、三回に一回は当たるという驚くべき確率の勝馬予想システムが組み込まれていたのだ。テープをめぐる熾烈な争奪戦を新機軸の構成で描く。/掲出の書影は底本のものです

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

61
なんと3回に1回は当たるという驚くべき確率の勝馬予想システムが組み込まれていたテープを狙ってくるのは、悪魔のように冷酷無比、残虐非道な男。この犯人に狙われ続ける緊迫感がスリリングなのだが、ラストがなんだかなあなのだ。1部がとりあえずの平穏で終わったように、2部の平穏も一時的なものだという暗示なのだろうか。2023/02/03

bookkeeper

31
★★★★☆ 再読。競馬シリーズ初にして唯一、作中で主人公が交代する異色作。教師のジョナサンは友人からプログラムを入手する。それは1/3の確率で勝馬を予想するシステムだった…。同僚のテッドの困窮が気の毒だけど、後半の変身ぶりときたら…。  後半のウィリアムは、ジョナサンの仇敵との対決を迫られる。渡り鳥の様に気ままだった彼が、愛する人とやり甲斐のある仕事を得て、次第に信頼を勝ち得ていく過程が微笑ましい。敵の問答無用の凶暴さが怖いです。  「人生には金儲け以上に大切なものがある。多くはないが、いくつかある」2020/05/18

Willie the Wildcat

24
過去のデータと勘所。何事も日々の積み重ね・・・。想定確率を如何に高め、どのように意味づけるかも、個々人の主観。無論、”欲”が最後のエッセンス。金銭欲、技術欲が交錯する中、デリィ兄弟が印象深い。一歩引いた冷めた視線が共通項も、背負う哀しみの違いにより兄弟が求める”何か”に差異・・・。心の吐露のきっかけとなり、開いたセアラの心。蛇足だが、テープのアナログさが、”深み”を与えている気がしてならない。2014/12/06

ぺぱごじら

15
人が自分の努力の成果を誰かに委ねたい衝動は、子孫繁栄の本能に近いくらいの強迫性を持つものなのかもしれません。『三回に一回は当たる競馬の予想システム』は『ただ乗り志向』を持ち、そのことを恥じるつもりのないある種の人々にとっては、たいへん魅力的なもの。犯罪心理が直線的で、ストーリーに意外性がないと『フランシスにしては』という、きっと本人にとっては『誉められてんだか貶されてんだか』複雑な評価を受けた作品ですが、ジョナサン・ウィリアム兄弟の価値観の相違と、それ故の互いへの敬意が浮き出たよい作品。2013-2132013/12/31

bapaksejahtera

13
前半夫婦仲の悪い学校教師が「わたし」で登場して悪漢退治をする。中入りを挟み後半はその14年後。前半の「わたし」の弟が漸く競馬関係者として登場。同じく「わたし」となり、前半で刑務所に打ち込まれた男の恨みを買って襲撃される再スタート。主題は3回に1回は当たる競馬予想プログラム。何とこれがDiskBasic以前、カセットに前半はプログラム、後ろにデータ行を書き込む懐かしの歴史モノ。小説はそれが14年後も有効に動くのが不思議であった。私も似たようなプログラムを作った事があり、「そんなー」と思いつつ興味深く読んだ。2022/03/13

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