内容説明
タクシーの運転手は寡黙だ。その内側に、客に対する様々な心理や感情を働かせていても、それを語ることがない。言わば〈無言の観察者〉である。この存在は、作家の興味をそそる。生身の欲望を秘める人間が他人の生命を預かる病院、これは興味以上に、無気味である。『地の指』とは、土地が暗示する真相を意味している。(「作者のことば」より)巨匠の長編社会派ミステリー。全2冊完結篇。
感想・レビュー
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葉
4
タクシー運転手の三上正雄が武蔵野の看護婦殺しの重要参考人として取り調べられてから運転手仲間の態度が違っていることに気づく。逗留する、という言葉を使ったことがないので今度使ってみようと思った。殺人事件の容疑者に引っ張られた奴は使わないという山中の話には飯田と共に納得してしまうところもある。桑木刑事の人を気遣いながらも事件を紐解いていく姿勢は誠実そうに見える反面、毛嫌いする人もいるのではないかと感じた。金の話は事件に付き物だ。2018/05/13
るつ
1
あまりにも多くの人が死にすぎて、誰もいなくなるのでは?と思ったほど。粗い部分も多く感じたが、社会問題を提示してるのだろうと思った。2023/08/06