ハヤカワ・ミステリ文庫<br> 試走

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ハヤカワ・ミステリ文庫
試走

  • ISBN:9784150707170

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内容説明

〔競馬シリーズ〕「おれは死ぬ……アリョシャだ……モスクワ……」英国王子の義弟と同性愛の噂のある騎手が、謎の言葉をのこして急死した。王室をまきこむスキャンダルか? 調査の依頼をうけた元騎手のランドル・ドルーは、オリンピックを目前にひかえたモスクワへ単身乗り込む。が、そこには巨大な陰謀が!/掲出の書影は底本のものです

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

bookkeeper

27
★★★☆☆ 王族の依頼を受けた主人公が向かった先はソビエト連邦…鉄のカーテンの向こう側、盗聴器と監視の目の張り巡らされた異世界だった。  本心を明かさず、無表情で秘密主義の関係者達。それでもどこか殺伐とし切らないのは、主人公がソビエトの体制に敵対する意図が無くて、痛くも無い腹を探られているに過ぎないからか?極度の乱視や喘息というハンデの設定も今ひとつ緊迫感に結び付いていない様な気が。馬関連競技のつながりと実直な人柄で、少しずつ信頼関係を勝ち得ていく辺りは微笑ましい。頑張れフランシス。夜明けはもう近いよ!2019/10/28

bapaksejahtera

13
主人公は富裕な牧場主で英国王室とも付合いのあるというシリーズでよくある配置。モスクワ五輪を控えた1978年の作品で、ソ連のアフガン侵攻の前だからボイコットの話はまだ無い。我が国にもソ連贔屓の知識人などウヨウヨ居た時代だからまだソ連も元気な頃。しかし作者はKGBの謀略に抗するホースマンなどという安易なプロットは取らない。抑圧と監視の暗い社会を見事に描きつつ、彼らを悪役に割り振らないのはうまい。ヨーロッパでなお記憶に新しいドイツ赤軍など一点突破全面展開の連中を背景に設える。だが矢張グルジア人は悪役なのだなあ。2022/02/22

ぺぱごじら

11
当時は『ソビエト連邦』と呼ばれたロシアが舞台だが、意図的に場所を『ロシア』政治体制を『ソビエト』と使い分けている辺りに、フランシスの気持ちがよく出ている。国民総諜報者の国でも『馬を介したネットワークは健在』というファンタジィ(笑)。敵が見えない中で闘う、一見期待し甲斐のない主人公、洒脱だが誠実な協力者、はいつものフランシス。核心の謎解きは専門外だがお見事。『美食を楽しむためにこの国へくる者はいないな、と私は思った。』気持ちは分かるがイギリス人が言って良い台詞ではない(笑)。2015-292015/02/28

たこやき

8
展開そのものは、後半まで比較的平坦だと思う。ただ、1978年と言う時代、東西冷戦の真っ只中、その本拠地と言えるモスクワを舞台に一見、十分な歓待をしながらも警戒は緩めない、という状況が刺激となって読ませる。この状況って、現在、北朝鮮へ行った人の体験談そっくりである。序盤は状況の特赦させ読ませ、後半に謎解きが行われた上で、最期の最後までしっかりと謎を残すのはストーリーテーリングの巧さだろう。モスクワ五輪への対応が分かれた日英でまた、違った観想になるのかな? とか、今読んだ上で興味を覚える。2013/05/02

ayacooo

4
上司に勧めてもらったディック・フランシスの競馬シリーズ。ホントにどれを読んでもハズレなし。娯楽としてのミステリーが欲しい時、間違いなし。ご馳走様でした。2013/10/21

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