内容説明
発表と同時にスキャンダラスな話題を呼びおこした、『O嬢の物語』とならぶ秘密文学の傑作! 男性は愚直で、よしんば自分自身が何者でもないとしても、そうした自分を崇めるように望む。いっぽう女性は男性と似かよってはいるが、ひたすら、男性にみつめられ、愛撫され冒涜され、絶えず生贄に捧げられ、同時に限りなく蘇生する聖体であり、その一切の享楽は鏡の精緻な作用によって自身の姿(イマージュ)を熟視することにある。 ――ポーリーヌ・レアージュ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かす実
3
とてもエロかった。ちょこちょこ入ってる挿絵も美しい。SMというよりはマゾヒズムの方に主眼の置かれた作品。男女2人がひとりの若い女を虐める小さな話がいくつか綴られつつ、率先してサドの役割を引き受けていた女が実は自分も調教を受けたがっていることが徐々に小出しにされ、大きな物語が緩やかに展開する。ここが面白かった。このクレールのような調教されたい願望の逆写しこそがSMにおいて最も優れたサド役を務めるのであって、これは男性らしい傲岸さには達成し得ない境地なのではないか、だとしたらなぜマゾ役を憎まずにいられるのか。2022/07/18
刳森伸一
3
美少女アンヌを性奴隷として扱うクレールと再会した男がクレールと一緒になってアンヌを調教するというポルノグラフィティ。最後にはクレールも調教されたがっていたことが分かり物語は幕を閉じるのだが、物語自体は基本的にどうでも良くて、クレールによる加虐や命令を無条件で受け入れる道具的な側面と、羞恥や痛み、快楽といった生々しさを持った人間的な側面を合わせ持つアンヌの自動人形性が主題のように思える。2015/03/26
山口透析鉄
2
kindle unlimitedで読みました。いわゆる調教モノのポルノグラフィーですね。O嬢の方がインパクトは強かったかな。あちらはエッチなTVドラマにもなっていたので、余計に印象が強いのかも、というのと、どうも私にはSMの趣味ってないんだな、というのも実感しました。2022/10/28